イツカ見タ アノ空ヘ―――――

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選択


カイル「ねぇっ はどうしたらいいと思う?
「どうしたらって…私に聞いても参考にならないよ?
カイル「それでもいいんだ!聞かせてよ。
ジューダス「カイル、お前はまた──
「じゃあひとつ話をしてあげる。誰の記憶にも残らないような小さな話でよければ。
カイル・ジューダス「?
「ある国に、その国の行く末を知る1人の人間がいました。
カイル「…それって預言者、ってやつ?
「ん~ちょっと違うけど…例えばカイルは今18年前の騒乱のこと知ってるでしょ?
カイル「うん。
「そのまま18年前に遡った人間だと思えば丁度いいくらいかな。
で、当然何が起きるのか知ってる。
カイル「うん。それならわかりやすいや
「その人は他のある人が汚名を着せられた挙句に死んでしまうことを知っていました。
ジューダス「… 、その話は…
カイル「へぇ…それって、ちょっとジューダスの話っぽいね。
「そうだね。カイルだったら、どうする?
カイル「…今だったら…やっぱり助けたいって思うかな。
ジューダス「カイル…
「そう。それでその人も助けたいと思ってた。
だけど、結局は知っていた未来の通りになってしまった。
カイル「それって、歴史を変えられなかったってこと?
「どうだろう?それでも、その人が一度視た流れとは確かに違ったんだろうとは思う。
でも結末は同じだった。どうしてだと思う?
カイル「…どうしてだろ…わからないよ…
「相手の選択を尊重した結果だよ。
助けたいと思った。同時にその人のやり方を捻じ曲げる気はなかったんだ。
何が正しいかなんて、後の世が決めること。だから本当は何も考えずに思い切りその人の手をひっぱってやればよかったのかもしれない。
でも、それを望んでないのは明らかだったからね。
だから、できる限りのことをしたつもりだったけど変えられなかった。
ジューダス「…
カイル「…相手の選択を…
カイル「それで、その人は…?助けたかった人が死んでしまって、どんな気持ちだったの。
「それは…やっぱり生きて幸せになってほしかった。ただ、それだけかな。
でも…きっと後悔はしてない。
カイル「どうして!
「その人もそれを望んでいたはずだから。
誰が何といおうと、その強さはその人にとっても誇らしいものだったからね。
カイル「…。あのさ、その人って…死んだもう1人の人にも信頼されてたんだね。
「えっ!!?そ、それはどうだろう…?そればっかりは…一方的立場からは何とも…
ジューダス「…カイル。その話だったら僕も知ってる。
カイル・ 「!?
ジューダス「死んだヤツはそいつを信用していた。だから怖くなかったんだ。
自分の選択を、他のどんなヤツらに罵られても自分の選んだ道を後悔せずにいられると。
ただ、それに気づいたのは死ぬ直前だったがな。
「……
カイル「そっか…オレ思い出したよ。『信じ続けることが本当の強さだ』って父さんの言葉。
その人たちは、きっと傍にはいられなかったんだろうけど、
きっとお互い誰よりも近くにいたんだね。
「…
ジューダス「そうかもしれんな。
平行線だが、だからこそ違う道を選び取る強さを、お互いに認められたのかもしれん。
カイル。お前も選び取れ。自分自身の選択を。
それは僕たちに求めるべきものじゃない。
カイル「ジューダス…うん…わかった。ありがとう。
もう少し、もう少しだけ待って。オレ、絶対後悔しない道を選ぶ から。
、ありがとう!
「平行線…ね。
ジューダス「適切な表現だろう。
「でもカイルはまだマシだよ。リアラの願いとカイルの選択は、きちんと交差してるんだから。
ちなみに参考にならない私の答え、敢えて言わなかったんだけど聞いてみる?
ジューダス「…なんだ。
「どっちも取る。
ジューダス「それができんから悩んでいるんだろうが…
「できないなんて誰が決めた。できるように考えなくしてどうする?どうせだったらエルレインからあの力の源(レンズ)を取りあげていっそ永遠に封印し…
ジューダス「冗談でもカイルには言うな
「言わないけどね…

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