-イルカ-
「生まれ変わるなら何がいい?」
それは他愛も無い雑談でのできごとだった。
「俺は俺がいいな。どーよ、このもてもてダンディなロニ様に勝るものはないだろう」
「ロニの根拠のない自信はともかく私も同じかなぁ」
「自分に生まれ変わる、か。なんだか奥が深いねぇ」
がロニに同意するとナナリーが感心したように頷いた。
そういわれるとここにいる誰もがそうだといいそうだった。
「それじゃつまらないよ!自分以外で何がいいかって」
カイルが不満そうに促したので自分以外の何かを前提に考えるメンバーたち。
「くだらんな」
約1名を除いて。
「私はうさぎがいいかしら」
「ハロルド、意外に普通だな」
「私はかわいいものが好きなの。見なさい!解析君だってうさぎヴァージョンよ!」
確かに彼女の持つ端末は意味も無くウサギの耳などが付いたピンクの物体だった。
「私は…何がいいかしら」
聖女に生まれ変わりなどあるのだろうか。
それでも今のリアラなら人間に生まれ変わることを望むかもしれない。
「イルカがいいな」
とこれは
。
ちょっと意外だったらしく一同がぱちくりと瞳をしばたいた。
「イルカって好奇心旺盛だし家族も凄く大事にするんだって」
「へぇ~そうなんだ」
「ジューダス、どうせ何ってものもないんでしょ? 一緒にどう?」
「僕がイルカになってどうするというんだ、一体」
「家族になろうよ」
「……」
家族と言うものに縁の薄かったリオン。それが一体どういうものなのか、想像すらしたことが無かった。
家族になろう?
友人でも仲間でもなく、そういった の言葉はジューダスに絵も言われぬ感情を長くもたらしていた。
あとがき**
既に死んでしまっている二人にとっては、少しだけ深いお話。