「空が青いのはどうして?」
「えーと…宇宙(そら)には七色の光線があって…その内青い光だけが飛び散っていつまでも見えるからだね。」
「じゃあ水が青いのは?」
「目に見えない光の、青以外の部分を通して、残った青を反射するからだよ。」
「ふーん、空とは逆なんだね」
子供嫌い×2
の周りには子供が集まって話を聞いている。先ほどまでロニをぼっこぼこにしていたのがウソのようにおとなしく、しかし好奇心の眼差しで頭をひねっている子供たち。
次から次へと出る「不思議な」質問に はひとつずつ応えていた。
「虹の足元には何があるの」
「さぁ…たどり着いたことが無いからね。なんだろう?」
夢を壊さない、というよりわからないことは素で考える。
決してわからない、とは言わない。
大人ではとうてい思い付きそうもない「当たり前」の質問は時に困惑を招くが、 は全く動じていなかった。
それが図らずしも子供たちの信頼を集めているようだ。
本人は至って子供嫌いを主張して、決して進んで近寄らないのになぜだか寄ってくる子供たち。
自分が好かれる原因については気づいてない模様。
ジューダスは、すぐそばに腰を下ろして休息をとりつつ、黙って耳を傾けていた。
日差しは厳しいが、木陰に入ると心地よい風が感じられる。妙に居心地の良い気分になるのはなぜだろう。
ちなみにその後方では先ほどまで遊びと言う名の訓練につきあわされていたロニが転がっていてのどかな景観をぶち壊してくれている。
「雲ってどうして白いの」
「水分の固まりだから。雪が白いのと一緒だね」
「じゃああそこはものすごーく寒いって言うこと?」
「そうだね。カルバレイスは暑いけど、そのずっと上は寒いんだから…不思議だね」
へぇ〜と見上げる子供たち。
じゃあどうして、地上は暑いんだろう。
宇宙と空の境目の温度は世界中変わらないだろうに。
暑い国と寒い国があるってどーいうことなのさ。
ふと疑問を昇格させてしまった は一人で眉を寄せている。
当たり前だからこそ、あまり根本から考えたことはない。たぶん、物凄く当たり前で物凄く簡単なことなのだろうが、難しく考えついてしまうとキリがなさ そうだ。
日照時間とか…風や海流の影響や?
意外に奥が深い。
「じゃあ子供はどうやってできるの」
「……………………へ?」
考え始めた矢先のふいの質問に間抜けな反応をする 。現実世界に意識を引き戻した瞬間に答えに窮するそれは。
お決まりの質問出た─────!!!
無邪気な子供を前にあからさまに教えるのがなぜだかはばかられる。
…正しい教育は必要だと思うが、…それとこれとは別として…!!!
あぁそれ以前にそんなこと話す方が恥ずかしいだけなのかもしれない。
なんとなくその事実にいきついて遠い目をしている 。
だから子供は嫌いなんです。
「………………。コウノトリが満月の夜にキャベツ畑で…」
「ウソをつくな」
いきなりメルヘンの世界に成り下がった話にジューダスが思わずつっこんだ。
しかもそれ、色々な話が混じってないか?
「ウソをつくなって…じゃあジューダスが説明する?」
「…………………………………」
思わず正直につっこんでしまったことが悔やまれる。
しかし子供は無邪気に に詰め寄る。
「オレさ〜弟分が欲しいんだ。なんとかならない?」
「………なりません…」
めちゃくちゃなことを言い始めた子供に思わず激しく失笑。
助けて、ジューダス。
目線で訴えるが見事にそらされた。
このやろう。逃げを決め込むならこちらにも手があるぞ。
巻き込むことを考え始めた殺気に気づいたのかジューダスが立ち上がってその場から去ろうとした。
逃がすものか。
「ジューダスから1本とれたらなんとかしてあげるよ」
「な…っ」
「本当!?」
きらーんとある種の殺気にも近い顔で年少組が振り返る。
「そんなできもしない約束をするな!」
「ジューダスが手を抜かなければいいだけだ。がんばれ」
無責任発言をよそにあっと言う間に取り囲まれた。
「信用してるよv」
「く…」
ロニじゃまずいけどジューダスなら大丈夫だろ。
は既に別の「遊び」に夢中になっている子供たちの喧騒を背に長屋への帰路についた。
その背中に、こらだとか待てだとかついでに名前を呼ぶ声が聞こえたが気のせいということにして。
その後、どうなったのか知る由もない。
ただ、いつにもまして疲れきった顔のジューダスと、再びボコられたロニにまで謂れの無い愚痴を聞かされる羽目には なった。
「子供の相手でそんな熱中しちゃって…あんたたちも子供だね」
「「………」」
激しく違う。
しかし2人には、後ほど合流したナナリーに反論する余力は残っていなかった。
あとがき**
子供嫌いな2人が子供を相手にする話。
きっと騒ぎで気づいたロニを見て、以下の会話が交わされたことでしょう。
「あいつが立ち上がれなくなるまで相手をしたら次に僕が相手になってやる」
「おま…っこれ以上オレにガキどもの相手をしろと?!」
「馬鹿高い体力だけがとりえなんだ。それくらいできないことはないだろう」
そんなわけでロニがボコられジューダスの精神力が尽きそうになったところで タイムアップ。
彼女の子供嫌いはジューダスの子供嫌い(嫌いと言うより苦手?)と通じるものがある気がします。
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