高級アイスと貧乏万歳
問:好きなアイスは?
リアラ「え…ピノ…かしら。食べやすいし」 ←かわいい(もしくは計画的)
ナナリー「あたしはなんでもいけるよ! 抹茶なんかもおいしいね」 ←意外と和風
ジューダス「興味ない」 ←甘いもの好きだけど自分で買わない人
カイル「ガリガリ君!! コーラがいい!!」 ←定番
ロニ「男は黙ってソーダだろ!!」←定番
シン
「…………………。雪見大福とかパピコ(白)かなぁ…」
-貧富の格差(拡大中)-
「ちょっと待て」
ジューダスが何か違和感を覚えたのか会話を止めた。
「?」
いくつかの疑問符が重なって沈黙と一緒に落ちる。
声をかけられたシン
はそれを浮かべてないところをみると、感じた違和は当たりなのだろう。
たかがアイス、されどアイス。アイスは関係ないとしてもひっかってしまうと気になるところだ。
「お前が白いものが好きなのは知っている。だが、今のは違うだろう」
「白くてもバニラは基本的に好きじゃないよ、特にスーパーカップ」
「なんだと!? スーパーカップはガリガリ君の次にイケてるだろう!モナ王もだ!」
「そうだよ! 基本はガリガリ君で大奮発してスーパーカップを買ってみんなで食べるっていうのは当たり前じゃないか!」
みんなで食べたら奮発している意味はどこへ行ってしまうのか。
ルーティに騙されているのではないかと思うジューダス。
(そしてモナ王という名前をロニが発すると全く違和感がないのはなぜなのか)
「えー? でもスーパーカップってなんかミルクの味がおかしくない?」
「全国一千万人のスーパーカップファンに謝れ!」
「何がおいしいかは主観的なものだから、好きな人をおかしいといわないし、雪見大福も強制はしないよ」
「むしろ次に買ったらひとつ分けてくれ」
「あ、オレもー!」
プライドというものがないのか、デュナミスファミリー。
「シン
って、あんまり食べ物に興味示さないと思ってたけど実は味覚も鋭かったり?」
どこにいたのかにゅっとハロルドが出てきた。
「なんでそうなるんだよ。スーパーカップはうまいだろ」
ロニ、しつこい。
「厳密に言うと、雪見大福はアイスミルクでスーパーカップはラクトアイスなのよ。知らなかったっしょ」
「どう違うんだい?」
ナナリーが聞いた。
無論、ジューダスもそんなことは知らない。
コンビニでアイスを買い食いしてなおかつ成分表までみるやつはあまりいないであろう。
「あーたまに違うのあるよね。アイスクリームとラクトアイスと…パピコなんかは氷菓じゃないの?」
ここにいた。
「そ。アイスミルクは乳固形分が10%以上のもの。ラクトアイスは3%以上だから基本的に乳成分が薄いのよ」
「えっ!」
「同じバニラアイスなのに?」
「そうよ。ミルク成分が少ないから風味を出すために油脂やら乳化剤やら安定剤が入ってるから…シン
にはそれがまずく感じるんじゃないかしら。ちなみにラクトアイスの方が高カロリーで太りやすいわよ」
「ハロルド!! ピノは!? ピノは何なの!?」
「10%の記載を見たことがあるから…今は知らないけど、ラクトではないと思うわ」
「よかった~」
リアラは胸をなでおろすが、数キロカロリー違ったところで一体どんな意味があるのか。
我が身がかわいくないわけではないので黙っていることにする。
その代わりになぜかため息が出た。
「で、何が違うのよ」
「?」
ハロルドの発言に今度こそ、シン
を含めた全員が首をひねった。
話が逸れっぱなしになるところだったがそうだった。シン
の答えたアイスの話だった。
「あぁ…いや、お前は本当に雪見大福だのが好きなのかと思っただけだ」
「なんで? ジューダス、嫌い?」
「そうじゃない」
はぐらかそうとしているわけではなさそうだが、時々シン
は話を別の方向へ持っていきたがる傾向がある。
「他に今、ハマっているようなものがあるんじゃないか」
「……………………」
なぜか黙り込むシン
。
「お、なんだ? 何かうまいものがあるのか?」
「何何!? シン
、教えてよ!」
「いや、教えるほどじゃないけど…」
なぜか憚られる様子。
「ていうか、みんな知ってるはず」
「わかったわ」
なぜかハロルドが思い当たったらしい。にやりとおかしな笑いを浮かべる。
「なんで今のでわかるんだよ」
「わかるわよ~シン
の好みはもちろんだけど、この状況をよく観察及び分析すればざっと12ほどの理由にあてはまるものがあるわ」
「まわりくどいな」
「そうだよ、たかがアイスなのに!」
と、笑顔のカイルの発言を聞いてジューダスも、ふと理解した。
その発言は、おそらく、諸刃になろうことを。
「なんだよ、気になるだろ」
「まぁ確かにたかがアイスなんだけど…」
「私が当ててあげるわ。ずばり『ハーゲンダッツ』でしょ!」
「……な」
なぜか時が止まった。
「なにぃーーーーーーーーー!!!?」
ロニの絶叫が無駄に響く。
「ダッツといえば!! 高級アイスの代名詞! まさしくキング オブ ザ アイス!! そんなものを買えるとは…シン
、お前はお嬢なのか!?」
「だから嫌だったんだよ#」
なるほど、理解した。
「別にいつも食べてるわけじゃなくてたまたま──…」
「たまたま!? たまたまで買えるものなのか!? 標準小売価格300円のアイス様が! お前、いったいガリガリ君が何本買えると思っているんだ!!」
「知らないよ、そんなこと…」
「なんだと!? ガリガリ君の値段も知らないってことなのか! ガリガリ君は1本60円だ! しかし俺は知っている! スーパーに行くと38円で売っていることを!」
だからどーした。
「そのガリガリ様を差し置いて、ダッツだとぉ!!?」
様づけになった。
「シン
! ダッツってどんな味!? 最近何食べたの!!?」
カイルの目が、子犬のように輝いている。
「んー基本、クリスピー系が好きなんだけど…マスカルポーネ エスプレッソが意外といけた」
「お前はなに人だ! それは宇宙語か!?」
大人の女をナンパしたいなら、エスプレッソくらい覚えておけ。
「ジューダス…」
「なんだ」
「この事態をどうしてくれる…?」
空気を読んで値段相応の好きなものを言ったらしいシン
に、申し訳なさがまったくなかったといえばうそになる。
が。
「知らん」
「ガリガリ様がお怒りじゃー!!!」
訳がわからないので、放っておくことにした。
*****
スクチャで終わるはずが長くなるとか、最近、ありがち。
割と気に入ったので、ブログ小話からの再録です。
スーパーカップファンの方、ホント、すみまs(略)
前にやったオベロン学園とか、普通にパラレル設定だとシン
は社会人である可能性もなきにしもあらずなので経済格差もあると思います(笑)(ロニも社会人では)。
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