下ネタ限界
ロニが今日も叫んでいた。
ナンパがうまくいかないらしい。
いつものことではないか。
なので、ジューダスがかまっている。
「お前が死んだら戦績を墓碑に刻んでやる」
「ジューダス。それ、どれだけ大きな墓が必要なのかな」
刻みきれないな。との本気なのだか冗談なのだかわからない発言を受けてジューダス。
「ふざけんなよ。お前なんてナンパもしたことないくせに!」
泣くなよ。
みんなが心の中でつっこんだそんな中、だけがやっぱり真顔だった。
「ふざけるなとは……人がおふざけをやめたとき、どれだけの笑顔がなくなるのかわかってんの!?」
「え、……すみません」
まじめに言われすぎて思わず謝っているロニ。の言うふざけるというのは遊びのことだろうが……
「いや、一部はそのおふざけとやらがあるから人を恐怖に陥れることもあるんだぞ」
「ぐふふ、誰のことかしら」
総員、ごく自然に目をそらした。
「大体なぁ、この面子で本当の大人がどれくらいいるってんだよ!」
ロニが会話の方向を修正する。
本当の大人とは……
こんな時、まっさきに話をそらしてくれそうなは興味がないのか、関わりたくないのかぜんぜん違う方向を向いて、窓の外を眺めている。
「あら、私は大人よ~? あんたと違ってね」
「な……! その発言が大人の余裕!!」
ハロルドの発言に無駄にショックを受けているロニ。
どういう意味での大人なのかはご想像にお任せする。
「でも女は、大人になりきれていない方がかわいいってもんだな。幼女過ぎるのは守備範囲外だが」
「さっきから何、品のない会話をしてるんだい…?」
笑顔でナナリーがぼきぼきと指を鳴らして煽り角度でロニに迫った。
「何が品だ。ワイルドレディがよく言うぜ!」
品の意味が違うと思うが。ロニはそうして絞められることになる。
そこへハロルドの追撃。
「わがままねぇ…身の程をわきまえないからナンパも成功しないのよ」
そうだそうだとリアラが激しく同意している。
「思いっきり年上嗜好のロニが言うと変な感じ……」
『といいつつ、なんでは坊ちゃんを見てるのかな』
シャルティエが理解しつつも思わずひっそりとつぶやいた。
年上嗜好と思しき当の本人は渋い顔をしている。
「どっちでもいいじゃない。女はね、大人の魅力も未成熟な魅力もあって許される生き物なのよ☆」
「よく言ったわ、ハロルド!!」
リアラ大絶賛。
「話がよくわからないんだけど……」
カイルは一人で置いてきぼりだ。
「男はダメね」
「なんで女は良くて男はダメなんだ! ピュアでもいいだろ!」
「ピュアとか言うなおっさんが」
「誰がおっさんだ!」
みんなにいじられる、ある意味このパーティの最重要人物、ロニ。
それは、きっといなくなってわかるタイプの重要性だろうが。
「よく考えてみなさい!」
びしり。
ハロルドが指先を突きつけた。
「攻め込まれたことのない城と、攻め込んだことのない兵士。一体どっちがダメダメだと思うの!?」
「くっ……!」
如実に大人でない女と男の差をハロルドは語る。
「そういう意味ではあんたもダメダメね」
「なんでそこで僕に飛んでくるんだ!」
「ハロルドって自ら攻め込みそうな城を建築しそうだよね」
「大人だもの☆」
もはや意味が微妙すぎてわからない方が幸せだ。
「かっこいい! ロボットみたいに変形するってこと!?」
五歳児のおもちゃか。
敢えて盛り上がったカイルをスルーしてが見過ごせなかったところにつっこんでみる。
「でもロニは果敢に攻めようとして城壁に阻まれてる感じだけど」
「そこはつっこまなくてもいいとこだ、!!」
本気で逆に突っ込まれた。
「そんなものに例えられたら黙ってられねーな。それを言うならナナリーなんて、茨の森の城だろ!」
「なっ…! 失礼だね、あたしの周りのどこに茨があるっていうのさ!」
眠り姫かな。
なぜかナナリーとロニが言い合いをはじめている。
「私は……カイルが来てくれるなら、喜んで門は開けておくけど……」
「えっ! リアラのお城!? どんなところかなぁ……きっと、かわいいぬいぐるみとかでいっぱいなんだろうね!」
きゃっとリアラが頬を染めてみたところで、本気で城をイメージし始めているカイル。
「ちなみに私の城は割とノーガードなんだけど誰も来てくれないっていう」
「いや、お前のは城門の手前に天然の絶壁渓谷があるタイプだからな?」
「天然要塞かぁ……強そうだね」
そういう目で見られると無意識にものすごい拒絶を示すことは自覚しているので、むしろ一向に気にしない。
かわすという意味では、移動要塞というのもありかもしれない(そもそも要塞の話ではない)。
『坊ちゃんは、攻めに入ったら落ちない城はないって感じですよね!』
「もしもの話でも攻め入らない兵士は地上軍には必要ないわよ」
「何の話だ#」
ハロルドはシャルティエの声をナチュラルに聞き取って、揚げ足を取っている。
「大体なぁ……お前らは貧相なんだよ! ボディラインが!!」
「ら」って言った。
そのせいでぴくりとリアラが反応を示したことにロニは気づいていない。
確かに一番セクシーなのは誰かといわれてもむしろジューダスとか言ってしまいそうになるので怖いパーティだ。
「しっつれいね~! そういうこというと……計るわよ!!」
何を。
「おぉっ臨むところだ! 自信はあるぜ!」
だから何を。
「あんたたちは何を考えた?」
絶妙のタイミングでくるりと振り返って総員に視線を投げかけるハロルド。
意味も無く慌てるもの、赤くなるもの、反応はさまざまだ。
みんな思い浮かべているものが一様ではないらしい。
「意表をついて、女性陣のスリーサイズ」
「マジか!」
とりあえず真顔で答えてみたら、それはそれで嬉しそうなロニ。
「じ、冗談じゃないよ! そんなの普通、本人でも知らないもんだろ!?」
「まぁそうだけど……ナナリーはきれいなラインだと思うけどなぁ……」
「えっ」
ぼっと赤くなるナナリー。
「お前が女を落としてどうする」
だって、リアラもハロルドも胸無いじゃない(消去法)とは死んでも言えない。女性のプライドにかかわることだ。
自分はどーでもいいとして。
「それを言うなら俺はが気になるな」
「何ふざけたこと言ってんだい!」
「いでで!! 違っ!違う!! 決してやましい意味ではなく!」
この状況でやましい以外の意味があるのだろうか。
「はいつも肌とか出さないだろ!? そういう意味で一番大いなる謎が秘められた存ざ…ぎゃあー!」
何やってんだろうか、この人たちは。
「私は肌をさらすほど自信が無いから、ふつうにこのカッコなだけです。……って、何ジューダス、その顔は」
「いや……」
普通な理由に普通に驚いたらしい。
「でもこの中では、が一番胸あるっぽいのよねぇ……」
いらぬ関心です。
「謹んでプライバシーの侵害行為はご遠慮申し上げます」
しかも「この中で」だから。
リアラとハロルド公式設定でぺったんなの知ってるから。
するとナナリーと自分の二択だから。
「んふふー」
嫌な予感。
「データ採取っ☆ ……って、何で逃げないのよ」
「胸囲なんてその気になれば数値偽装できるから」
「できるの!?」
普通に考えればできるだろうとは思う。
「だって、女の人って普通にみんな盛ってるじゃない。ロニは何人のお姉さんの胸にだまされたの?」
「言うな! 夢が消える!!」
「儚いな」
儚いという字は人に夢と書く。
「それは下着での話でしょ。数値を計るのにそんなものは脱いでもらうわよ」
「脱っ!!?」
「服は脱いでも皮は脱げない」
「?」
問答のようになってきた。
「ハロルドともあろう人が、今ので意味がわからないと」
「随分挑戦的じゃない。つまり無理っていいたいのね」
わかったらしい。
でも皆はまったくわからないらしく、疑問符が飛び交っている。
「胸式呼吸で胸のサイズなんて10cmくらいは変わるよ」
「そんなに!?」
「しかし待て! トップとアンダーの差は変わらないだろう。すなわち! カップ数は偽れな」
ボグゥ!
珍しいナナリーの拳がロニの無防備なみぞおちにめり込んだ。
「ぐふッ」
「死んだな」
「一番聞かせてあげたい人がご臨終になったので残念だ」
「あっ! わかったわ!」
みんなのなぞなぞコーナーみたいになってきた。リアラがものっすごく嬉しそうに手を上げた。
「トップを計るときに思いっきり息を吸って、アンダーを計るときにもう無理ってくらい息を吐くのね!」
そこまで言ってません。
「まぁ正解……」
「すごいわ! これで2カップくらい大きくなれるのね!」
いえ、サイズ自体が変わるわけではありません。
「つまらないわね~」
ハロルドがぶーぶー言っている。
「いいじゃない、目測で」
「見える化したいのよ、私は!」
当初の目的と何かがずれ込んできている気がするが。
「別に減るもんじゃないし計るくらいいいけどさぁ……誇るほどでも無いんだから」
「お前……恥ずかしげも無く何を言ってるんだ……」
女子の会話をあまり聞きたくなかったらしい。
『小さくも無いですよねっ!』
「……」
黙殺。
「抵抗されないと面白くないのよ。仕方ないからロニでも計るわ」
屍になっているロニを転がしてハロルドは彼の胸囲を測っている。
抵抗されていないが。
「こ、これは……!」
「「「?」」」
総員、首をかしげた。
「全員の目測値をはるかに超えているわ! つまり……」
「「つまり!?」」
なぜかナナリーとリアラが食いついている。
「このパーティで一番胸が大きいのはロニってことよ!」
「そんなっ!?」
「ロニ、すごいね!」
「カイル、ロニの代わりにつっこんであげるね。『そこは感心すべきとこじゃねぇ!』」
こうして……
うやむやのうちにロニは胸囲ナンバー1の座につき、しばらくの間、女性陣からいらぬ嫉妬を買うことになる……
『でもさー、はなんで胸式呼吸で10cmも変わるなんて知ってたわけ?』
「横隔膜が動かない人は吸気と呼気の差が4cmも行かないんだって。だから自分はちゃんと横隔膜使えてるかなぁって計ったことがあるんだ。アンダーだけど」
「大概にしておけ」
見える化、極まれり。
2017.7.27(29UP)
このサイトで下ネタどこまで行けるのかなって挑戦してみたらこうなりました。
横隔膜のチェックは9cm。
もちろん、バストを出すために計ったわけじゃないから、トップは計ってません(下ネタはどこへ)。
追記ですが、この話がどこまで下ネタに見えるかは読み手次第だと思います。
