If! If! If! その2
If(2回目)
が聖女だったら……
考えてもみれば、エルレインのように人類への画一的な幸福など結論とするはずもない。
自分の足で歩けるものは歩け。どうしてもどうにもならないときには手を貸す、というスタンスだろう。
今はリアラの側にいるものの、どちらの考えにも中庸なバランス思考型だ。
いや、しかし。
自分で考えて、好きにやれという点では放置型かもしれない。
結局考えているジューダス。
それでは聖女としての役割にすらなっていないのでは、ということには気づいていない。
「あ、でもあれかー」
最終決戦前にしてはのんきだ。
みんな腹をくくった先にあるのは、どうせ神のたまごに突入するならその時までにやりたいことやろ。
というような、いい言葉で言えば達観、悪い言葉で言えばお気楽感が大半を占める。
時期が来なければ突入もできないので、焦って待つよりはましだろうが……
ジューダスはうっかりため息をつきそうな思考から顔を上げて
を見た。
は後ろ手に手を組んで、まだ遠い神のたまごを見上げている。
「フォルトゥナって、騒乱後の人間の救済を願う気持ちが生み出したものだもんね。……知らなくて当然か」
聖女は完璧ではない。
むしろ、人から生まれたからこそ未熟だ。
それはエルレインの危うさ、リアラのここまでの変わり方を見てくればよくわかる。
彼女たちは結局のところ、使命にこそ忠実だったが、何も知らない人そのものだったと言っていいのかもしれない。
聖女が完璧な存在だったら、ジューダスは今ここにいなかっただろう。
人ひとりの心さえも、無条件には正しく理解できはしない、その程度の存在なのだ。
「知ってるのはジューダスみたいに、千年前のことを正しく知っている人か、神殿の幹部か」
「そうだな」
何度目かの同じ返事をした。今度は少し、気持ちが入っていた。
「私も知ってる。だから、私が聖女だったら最大限に力を生かせたかもねー」
「…………………」
戯言、冗談だ。
けれど。
と、ジューダスは思う。
そう、先ほど思い直したように
はいつでも中庸だ。
出来るものは自分で、出来ないものは頼れ、というスタンスであれば聖女として人類にとっては何の問題もない存在になるだろう。
自分で考え、真実に至ろうとする。
英雄も、神すらも必要ない。
人類のよき助言者(アドバイザー)として。
…………どちらにせよ、崩壊 or 繁栄。
デッド オア アライブなふたつの可能性が浮上してしまった。
ジューダスはこの件については心の奥底に封印し、もう、絶対に考えないことをひそかに誓った。
3回目に続く。
