If! If! If!
If!(3回目。)
「フィリアー フィリア特製ばななーぬおいしおいし作って~」
「ふふ、たまにはいいですわね。少し時間がかかりますから、待っていてください」
ストレイライズ神殿。
白い神官服の中に、ジューダスは一人黒衣。
浮いている。
は神官に倣って、白い法衣をまとい、やはり白い帽子をかぶっている。
スカートではないので、さして違和感はない。
「あ、ジューダス。フィリア特製のパフェ、もうすぐできるみたいだけどジューダスも一緒に食べる?」
「お前は聖女だろう……? いったい何をやっている……」
「おいしいんだけど、量が多いんだ」
「違う、そうじゃない」
その世界が現実なのか。
騒乱から18年後。
「
」という聖女がさらに10年後よりやってきて、神殿で必要な人間に奇跡を起こしている。
「ジューダス」はその護衛として、復活させられて毎日、その動向を追っている。
10年後に生まれたはずの彼女は、この時代でも聖女と呼ばれるが、未来の存在であること、その正体はジューダス以外知らない。
「いいじゃない。どうせ平和なんだから」
疑問1.聖女の役目とは一体何か。
…それは謎である。
* * *
は目を離すとすぐ姿を消す。
といっても、神殿が広いだけで、大体いる場所は把握している。
今日は、知識の塔にこもって読書をしていた。
「おい、礼拝の時間だ。信者がやってきているぞ」
「本日の営業は終了しました」
対応したくないのか、棒読みで答えて振り返りもしない。
「大体の信者がお前目当てなんだ。お前が来なくてどうする!」
「……ジューダス」
テイルズオブデスティニー2、完全攻略。
と書かれた分厚い書籍を開いたまま、真面目な声で返されジューダスも身を少し、固くする。
なお、表紙のタイトルはジューダスには見えていない。
「私は神の代行者だ」
「そうだ。やるべきことがあり、この時代にいるのだろう?」
「代行者なのだから、その代行者がいてもいいんじゃなかろうか」
「…………………………………………………………」
とことん目立ちたくないらしい。
奇跡の力などというものを持っていながら。
それは、目立つ以外の何者でもない力ではないか。
疑問2.役目を放棄しているかにみえる聖女
* * *
「お前の力はいったい何の力だ! お前の力で救えるものがいるのだろう!? その強力な力を全く発揮しないとは、宝の持ち腐れでしか ないぞ」
「そんなことない」
ようやく
が振り返った。反論のためであるが。
「私はすでに、人類史上、最大の奇跡を発現している」
「?」
「死んだ人が生き返るって、最大の奇跡じゃない?」
「…………………………」←人類最大の奇跡。
沈黙。
「しかも、リオン・マグナスなんて凄腕で頭も切れる人が簡単に消えたら損失だよ。ジューダスは本来なら、ダリルシェイド復興させるく らいのカリスマがあるんだからね。……頑張って、復興させてみる?」
力を貸すよ?
と言われる。
「ダリルシェイドが復興したら、未来でお前が生まれなくなると思うが」
「そうだねーそれは困る」
ちょっとだけ窓の外を見る
。
「じゃあ、この時代で楽しく生きてみようか」
疑問3.まさかの職権乱用。
* * *
「大体お前は…聖女としての自覚が…!」
「その持てる強大な力をもっと活かし……!」
「信者の扱いは……」
ガミガミガミ。
『ぼ、坊ちゃん、その辺で……』
が発言の多さに斜めになってきているので、シャルティエがさすがにかわいそうだと思ったのかなだめに入っている。
しかし、ジューダスはその日、説教を今まで貯めた分も含めてすべてくらわせることになる。
まるでお守りである。護衛というよりお守りである。とうか、むしろ見張りである。
もう一人の聖女は、英雄を探しているというがそうか、僕は、見張りのために召喚されたのか。
改めて役割を知る。
だとしたら、これは僕のすべきことだろう。
あまり世間に干渉しないのはよいことだと思うが、エネルギーの源であるレンズすら集めようとしないのはいかがなものか。
4.本気で説教をくらわせた。
翌日。
「フィリア、
を見なかったか?」
「
さんですか?……朝の礼拝には、いらっしゃらなかったですよね?」
朝食にはいたと思うのですが…
首をかしげながらおっとりというフィリアに嫌な予感しかしなかったのだが…
その日、聖女は失踪した。
5.探。
方々駆け回り、敷地内にいないことはどうやら分かった、
なので、遠方までジューダスはさらに探索範囲を広げることになる、
「お前は! 何をやっている!」
ぜーはーぜーはー
さすがに
を見つけたとき、開口一番そういった。
見つけた場所は、息切れするほど神殿からは遠かった。
深い森の奥だ。
「あ、ジューダス」
振りかえる。
何をしているのかは一目瞭然だった。
彼女の、目の前には大量のモンスターと、大量のレンズが積みあがっていた。
……聖女は強力な力を活かして、
自らレンズハントをしていた。
5.………。
「お前はっ! 僕の立場も考えろ! 僕はお前の護衛だぞ!」
「こんなに強力な力があるのに、護衛が必要なのだろうか」
「復活させたのはお前だし、あからさまにその力は神殿内では使えんだろうが」
つまるところ、ジューダスは、聖女様を狙う対人用の護衛である。
奇跡を起こす聖女様のイメージは、世間一般的に、やさしく、儚く、一見頼りなげだ。
……場所と、服装と、主に力を出すときの雰囲気。
それから、接触時間の短さによる誤解である。
と、ジューダスは思っている。
「でも、昨日ジューダスが『力を生かして』って言ったんだよ。レンズ集めろとも言ったしさ。寄進を待つより、これだけ一網打尽なんだ もん。自分で集めたほうが早いじゃない」
とんでもないブーメランが返ってきた。
「それにこういうのって、始めるなら初動が肝心なんだよ。これを元手にさらに強力になるから、もっとレンズが集まるよ。……ダークボ トル買い占めてどこか強力なモンスターがいるところに行ってみようか」
「そんな危ないところに、聖女様が行っていいと思っているのか?」
「たった今、自分で護衛だって言った」
ブーメラン、二本目。クリティカルヒット。
「…………………」
「ジューダス?」
「……………………………………」
「ジューダス」
『坊ちゃん、大丈夫ですか?』
返事がないので、シャルティエからも不安そうな声。
「………ジューダスは疲れているみたいだし、休暇もらってアクアヴェイルの温泉でも、行こうか」
「だからお前は聖女としてもっと自覚を……!!!」
ガバッ!
ジューダスはベッドから飛び起きた。
驚いたように振り返った
の姿がある。
まだ、起き抜けでインナー姿のままだった。
「どうしたの、ジューダス」
『大丈夫ですか!? 坊ちゃん!』
悪い夢でも見たのかと、二人から聞かれる。
「そう、だな……ものすごく心臓に悪い夢だった」
天地戦争時代。ラディスロウ。
そのあてがわれた一室であることを確認したジューダスは、深く深く、ため息をついた。
二度と考えないと、誓ったのに。
まさかの夢オチだったのは幸か不幸か。
顔を見合わせる気配のシャルティエと
をよそに、ジューダスはしばらく沈痛な面持ちで額を抑えていた。
20191019筆(11.30UP)
「レンズパワーってなんだっけ?どこかに起源あった?」というネット上の名も知らぬ人の書き込みから発展した話。
長くなったので三分割しましたが、この話が一番好きです。平和フリーダム。
本当は「うちのヒロインこんな人」シリーズで、眠れない夜に脳内では漫画化されていましたが、それ無理なので、小説化してみた次第です。
TOD2の攻略本読んでるのは、漫画の方ではさりげない演出だけど、抜きたくなかったのです(笑)
