流離人(はなまるさん)
『何も無いって自由ってことでしょ』
そう言った彼女は微笑さえ浮かべていた。
流離人(
気が付けば坊ちゃんと
と僕の二人と一振りの旅。
少し前までの緊迫感が嘘のように穏やかな時間が流れている。
『やっぱりこういうのって良いですねぇ』
只今、二人はまったりと食事中・・・・いや、御免なさい。実際はそんなにまったりしてないです。
訂正、現在地が特定できず南と思われる方向へ爆進中。既に街を探して何日も彷徨っています。今はその最中の昼時。
モンスターも出る事だし、しっかり食べてもらわないと!って事で僕の提案でやっと昼食をとる気になった坊ちゃんと
。
・・・二人とも、もう少し食に対して執着心を持った方が良いと思うよ。
「何が良いんだかサッパリわからん」
既に食事を終えてしまった僕のマスターは、眉間に皺を寄せてやたらキッパリ言い切った。
ひ、酷い・・・。
そんな心底理解に苦しむような顔しなくても良いじゃないですか・・・!
「ねぇ、シャル。こういうのって・・・どういうの?」
細い指を顎に当て、首を傾げて逆に問うてきたのは旅の同伴者・ 。
『え?う〜ん、具体的に言うのは難しいけど・・・こういうの〜んびり、ま〜ったりとした空気?』
「・・・・・・ほぉ。お前には、今の僕達がそんなお気楽な状況に映るわけか」
ゆらりと動いた坊ちゃんはヒクリと口元を引きつらせ、怒りの空気を滲ませた。
や、ヤバイ!?地面に叩きつけられる!!(ぇ
身の危険を感じて焦る僕は、同じく不穏な空気を読み取った
によって救われた。
「まぁ・・・目的が無いからね。シャルの言う通りかも」
「お前までそんなことを・・・」
「リオンだって言ったじゃない『当面、次の目的でも探して見るか』って。それってゆとりが有るから出来ることだと思う」
はぁ、と溜め息をついた坊ちゃんは脱力したように心なし肩を落とした。
が。
そんな事では挫けないのが僕のマスター。僕と
を交互に見比べ、露骨にむっとした表情を浮かべて言ってのけた。
「だから僕はお前ほどお気楽なものじゃないと言っただろう」
「・・・どこがどう私と違うのか詳しく説明してもらいたいものだね」
あ、怒った・・・?
坊ちゃん、あんまり『お気楽、お気楽』と連呼するもんじゃありませんよ。明らかに今の発言で
の機嫌は斜め45度以上傾いたと思われます。
あ〜ぁ、いくら温厚な彼女とはいえ、頭に来る事だってあるんだから・・・。
・・・・・・・。
・・・って、
。笑顔がちょっと怖いよ。
・・・坊ちゃん、顔が強張っていますよ。
『・・・あ、あのさ。え〜っと、 はどんな旅がやってみたいの?とゆーか、行ってみたい所とか、ある?』
何やら居た堪れない空気なので、無理やり話しを変えてみた。
我ながら苦しいネタ振りだなぁと思ったけど、どうやら彼女には考えるところがあったようだ。視線を地面に落とし思案顔になる。
「・・・とりあえず、行ける所まで行って色んな物を見てみたい。そして、知りたい」
『知りたいって・・・何を?』
「だから、色んなものを。・・・・・・自由に、ね」
どういう意味だろう、と僕はわからなくて唸った。坊ちゃんも同じく意味を理解できなくて訝しげな表情を浮かべている。
それを見た
は苦笑しながら説明を入れてくれた。
「何も無いって言うのは束縛されないことって言ったでしょ?心・・・というか、気の持ちようも同じだと思うんだよね」
それを聞いて、僕も『あぁ、なるほど』と彼女が言わんとしている事を悟った。
振り返るのは新しいマスターを得て、共に歩んだ道。
物心をついだ頃には、既に様々な人間の都合・思惑の渦中に身を置いていた坊ちゃん。
よく『心だけは自由だから』とか三文小説には出てくるが、そんな風にはとても思えなかっただろう。心の余裕など無いに等しかったかもしれない・・・。
「大げさな言い方をすると、自分の気持ち一つで世界は変わる」
「・・・そうかもしれないな」
思うところがある坊ちゃんは少し寂しそうに目を伏せただけだった。
「自由に、世界を肌で感じてみたいんだ」
頬を撫でる微風に気持ち良さそうに目を細めた
は、ふと坊ちゃんに視線を移した。坊ちゃんもそれを感じて彼女を見る。
二人の目がパチリと合った。
すると、
は坊ちゃんの顔を見て何を感じとったみたい————僕にはわからなかったけど—————満足そうにニヤリと唇の端を上げる。
「これは
詠うように囁く彼女が、
雲のような、掴みどころの無い人に思えた。
++あとがき++
イラストと連動(?)した小説です。個人的にTOD2の二人旅が好きなんで(笑
彼女のイメージを上げるなら『水』、『風』、『月』かなぁと、思ったんですが、
何となく、掴みどころの無いところがある人というイメージもまた強くて・・・
で。
結果、『雲みたいな人』となりました(笑
イラストへ
**管理人コメント**
はなまるさんには、以前にもテキストを頂いておりますが、
とてもキャラを掴んでくれていて連載をカバーしてくれそうな作品です。
彼女がつかみどころのないというのは10-wiseも同じく抱くイメージです(笑)
二人旅時代は私もお気に入りなのでまたお目にかかれて嬉しいです。
寄稿、ありがとうございました。
