なんで、貧乏?
-貧乏万歳
時々、野に咲くなんでもない花を見てみると面白い発見があったりする。
その日、ふと見回してみるとそこは白い小さな…どこにでもありふれてみえる雑草の群生する草原だった。
「…」
「どうした?
」
ふと立ち止まってじっと道端をみつめている
にロニが声をかけ道行はしばし、足を止めるに至った。
「この花、どこにでもあるけど久しくまじまじ見なかったなぁって思って」
「あぁ、そこら中にあるよな」
「…そういえば、なんていう花なんだろうね。名前は知らないや」
「貧乏草って言われてる」
「…誰がつけたんだよ、それ………………」
珍しくもない花に、だからこそか名前すら疑問に思わなかった人、多数。
カイルに続いて答えてみても、シン自身、まったくそう言いたい所で残念ながら由来はわからない。
もちろん他に正式な名前があったはずだ。
それについてはハロルドが知っていた。
「正式名称は「ハルジオン」ね。ハルジョオンともハルシオンとも言われるわ」
「ハルジョオン…シかジョになるだけで随分変わって聞こえるな」
「ハルシオンって言うと何かこう、伝説の剣!!…って感じでかっこいいね」
それはファルシオンでは。
心の中でつっこみながら
は肝心の花のほうへ字をあてはめてみた。「春紫苑」と書くのだろう。
すると多分、春に咲く紫苑の一種、あるいはそれに似た花と推定される。
「どこにでも咲いてる、言わば雑草ね。私はこうして見るの、初めてだけど~」
と、ハロルドがまじまじとのぞきこんだ。
花は親指ほどに小さいが草丈が高いので少しだけ腰を曲げるだけでよく見えた。
「あぁ、よく庭のはじっこに生えてて草むしりさせられたっけ?」
「そういわれればそうだね。そこら中にあるからあんまり気にしたことないや」
「パッとしないしね」
貧乏草といわれるだけあって言われようも散々だった。
中央に円を描く黄色いめしべ(?)に菊花のような細く白い花びら。
よくみれば花自体は悪くはないのに貧相に見えるのはなぜだろう。
特段目を惹く見栄えでもないのでリアラとナナリーも褒める言葉を捜すでもなく苦笑を漏らすだけだった。
自身もとりたててきれいだとは思ったことはない。
ある時を除けば。
「で、なんで貧乏草なんていうんだ?」
「知らない。けど」
はその花先を茎ごとつみとると親指でコインをはじく要領でピシリとはじき飛ばした。
意外にも鋭い放物線を描いてカイルにぶつかった。
茎の中が空洞なので花の大きさとあいまって容易に飛ばすことが出来る…らしい。
「わっ」
「こうしてぶつけられると貧乏になるといわれている」
「うそーーー!!」
そのあまりにも無駄におおげさなリアクションに間があって
の口元がふっと歪んだ。
「だからこうやって当てまくって遊ぶわけ」
「や、やめてよ。貧乏になりたくないーーー!」
人間と言うのは不思議なもので真偽はともかくそう言われると嫌がって逃げる。
逃げれば追われる。
はカイルを追い回しだして無駄に楽しそうだ。
カイルが本気モードの物凄い勢いで射程範囲から逃れるとくるりと振り返り…おそらくそれでやめるつもりだったのだろうがロニが過剰に反応してしまったため今度はそちらにターゲッティングすることになる。
「やっやめろぅ!!」
「…あいつらは何か身につまされることがあるのか?」
「ほら…孤児院が」
「さりげにトラウマなのかしらねぇ」
笑顔で見ていたリアラたちもそう言われれば苦笑してそう応えるしかなかった。
そもそも彼らの旅の始まりは、火の車である孤児院の経営の足しにしようと300万ガルドのレンズを探そうとはじまったのであるから。
デュナミス兄弟。…貧乏という言葉には弱いらしい。
あとがき**
夜に咲く花の冒頭として始まった話ですが貧乏草を描くうちに長くなったので分けました。
…なんてしょーもない話だ。
貧乏草の使い道(?)は地域によって差があるようです。
ただ持ち帰るだけで貧乏になるとかとんでもない逸話が残されてる場所もあるらしい…
由来についてはのきなみ「わからない」とコメントされる謎の草です。
一応、薬効もあるらしいです。 2006.10.9筆
