全力で走れ!
-夕立-
天国からのシャル日記
-夕立-
その日、急に激しい雨がダリルシェイドを襲った。
とはいえ、南の空は明るい。
直に雨はやむだろう。
しかし、中にはそれを待っていられない人もいるわけで。
「…強行突破で行く?」
「しかないな」
坊ちゃんと は足止めを食らったとある店先で顔もあわせずに決め込んでいる。
この雨では30mも走ればずぶぬれだ。覚悟の上で屋敷まで戻りたいところらしい。
「行くぞ」
「え? あっ」
の素っ頓狂な声。ばさりと坊ちゃんがまとっていたコートが にかけられた瞬間だった。
かと思えば坊ちゃんはもうダッシュの体勢に入っている。
「待ってよ、リオンーー」
戸惑うような声で追う 。
坊ちゃんいつからそんなに優しくなったんですかね。
ぶっきらぼうなところは相変わらずのようですけど。
でも は途中でコートをまるめて小脇に抱えたわけで。
「なぜわざわざ濡れる!」
走りながら半絶叫。
「だって、リオンだって濡れてるから!」
そこまでフェアじゃないと嫌なんだろうか。
いや、それとも のことだから「コートを被る」行為が鬱陶しかったのかも。
事実は神のみぞ知る、かな。