女性の多くが年をとると図々しくなるのはなぜだろうか
-おばさんと女性の分岐-
騒乱から18年が経過した。
そろそろカイルたちと旅にでもでようかという頃合の昨今…
残念ながら、今日はそういった話題ではない。
ごくありふれた日常の中の一コマだ。
18年経ってもリオンと は相変わらずダリルシェイドの復興拠点となった旧ヒューゴ邸に住んでいる。仕事の内容はリオンはほぼ固定、 はいくつかセクションを変わったがどこへ行ってもそれなりにやっている。
今日は、外部から視察団体が来ていてその対応、及び現在は懇親会の真っ最中である。
「 さんお若いですね」
酒が入ってキャラの変わった視察中は無口だったはずのチーフ(推定40代半ばか?)に言われ、 は微笑って返す。内心苦笑しかないだろう。セクハラの前兆ではあるが、潔癖気味な もこの18年でこの手の輩にはある程度の免疫は出来ていた。
その様を見て、チーフは酒を片手にくぅっと唸った。
「このはにかむ感じが溜まらないんだよ!」
「すみません! チーフは普段こんな人じゃないんです! 普段はまったくしゃべらない人で!」
あぁ、その分、酒が入ると開放されてしまうタイプか。
何やら部下が必死にフォローしているが、昼間の具合は自分も見ていたのでわかる。リオンは黙ってその様子を眺めている。
「職場のマドンナでしょう! 何歳なんですか!?」
マドンナ。
明らかにそれこそ のキャラではないのでここぞとばかりに が苦笑を浮かべたのをリオンは見逃さない。(しかも、その表現自体が古臭くはないか?)
耐えかねたのか 自身は割と全力で否定していたが、謙遜にしか聞こえていないようだった。
「チーフ! セクハラです!」
ポンドと言ったか…部下の方はこっけいなくらい必死に上司を止めようとしている。飲んではいるがこちらはほぼ、素面なので酔っ払いに勝てるわけがない。
「24才?」
「……………………」
どういう計算だ。
現在24であるなら、18年前の騒乱時代は6歳ということになるではないか。
6歳の子どもがダイクロフトに乗り込んで神の眼を破壊すると考えるとシュールだが、これはさすがの も想像の斜め上を行っていたらしい。
笑いがひきつっている。
「ちなみにね、ポンドは32の子持ちです。あっちの人は31」
「ちょっと、女の年ばらすとかありえないでしょ! チーフってば!」
といいながら隣で、並ぶテーブルの向こうの人間と話していた女性がチーフの肩を無駄にスナップを効かせた手つきで叩いた。
これが世に言う「おばちゃんリアクション」というものだろうか。違和感を覚えるリオン。
「いやいや、お姉さんたちはうちの華だから」
「やだー思ってもないくせに!」
と大きな声で笑い、なぜか手を叩く。
少なくとも はこういうリアクションをしたことがない。
… の正確な年齢は知らないが、こういう人間を見ると、確かに同年代には見えない(というか同じ人種にすら見えない) し、その分、年若く見えるのかもしれない。
「えっと…」
は困ったように自分の隣に座っているポンド…上司より常識がありそう…をちらと見る。
「………27ですか?」
当てに来たようだがお前より年上だと思うがな。
さすがに年寄りのたわごとは、お世辞にしかとっていなかっただろう だったが、図らずしも真顔のその発言でさらにどうしたらいいの かわからなくなった模様。
あとで聞いたところ「申し訳なさ過ぎて本当の年がいえなかった」とのことだ。
それでも、誤解は解いておくべきと思ったのか
「すみません…30代です……」
謝る必要性はわからないが、本当に申し訳なさそうに は言う。
「!!!!」
チーフが本気で驚いたようで
「騙された…!!」
などと失礼な事を抜かしているが、 はため息をついただけだった。
翌日。
「昨日視察に来たポンドさんたち、みんな二日酔いで出発時間ずらしたから、予定変更して買い物ツアーだって」
「ちょっと待て、あいつらは何しに来たんだ?」
平和になった世界で、平和ボケした人間を相手に仕事をすることもある昨今。
長期休暇が欲しいところだった。