大人という人
「ノイシュタットに行きたい」
「お前はまた、唐突に」
は基本、旅行が特別好きと言うわけではない。
しかし、完璧にインドア派かと言えばそうともいえないので、時々は卓上旅行などを楽しんでいる。
卓上旅行に入ると、行きたくなるのか、こういう流れになることがままあった。
「イクシフォスラーで行けば一泊圏内」
「公私混同極まれりだな」
一応、DRP(ダリルシェイド復興拠点)に接収されているものなのでリオンの私物ではない。
もっともパイロットがそうそう居ないのでほぼ専用機のようになっているが。
「レンズってクリーンなエネルギーだよねぇ…レンズ自体純度が高いとほぼ永久機関だし、公害も起こらないんだか ら」
そういう発言をさせると退化している文明が彼女の画策により再び軌道に乗りそうで油断ならない。
それが良いことか悪いことかはともかくとして。
気まぐれな発言として、流す。
「まぁ、その内な」
「えぇー」
行きたいと言ったら明日にでも行きたいのだ。おそらく。
あからさまに不満そうな声が返ってきた。
「そんな急に休みが取れるわけないだろう。その内、連れて行ってやるから我慢してろ」
「『その内』っていつ」
まず、ないことだが頬を膨らませそうな勢いで返された。
「その内とか一番当てにならない言葉じゃない。その内じゃなくて具体的に日にちを示してください」
「子どもかお前は」
「約束破るような大人になるくらいなら子どもで構いませんー」
子どもだった。
「リオン、私の嫌いな言葉は『正義』『奉仕』そして『その内』『また今度』だ」
「……」
DRPは今でこそしっかりした組織だが、そもそもが外殻落下直後はボランティア組織状態だったわけで、当初から 自分が参加している意識はあるのか……謎だ。
「特に強制ボランティアは嫌い。強制の時点でそもそもボランティアではない」
力説しているので何か嫌なことでもあったのかと聞きたくなるところを抑えて、沈黙に徹してみる。
割合総員に恩恵がもたらされるような知恵を出すあたり知らずに奉仕向きでありそうだし、正義はといえば、それら しいことを騒乱の時にしている訳だが本人的に主張する主義ではないのだろう。
もっとも主張する輩に限ってろくでもないのは否定できない。
哲学的なモチーフが出てきたところで、そもそもこれは何の話だったのか辿り返してみた。
「大体その内とかまた今度とか、できないなら言わないでほしいよ。そんなことでごまかすのが大人なら私は大人に などなりたくない」
「お前、僕より年上じゃないのか」
つい口をはさんでしまった。
「……」
返事がないということは肯定なのだろう。
本当のことは言わないが基本的に嘘はつけない人間である。
なお、現在リオンはすでに成年に達している。
「大体、僕はごまかしてなんかいないぞ。その内と言ったらその内行くから待ってろと言ってるんだ」
口をはさんでしまったのでついでに反撃してみる。
「僕がそんな嘘をつくように見えるのか」
「今の話題に限れば見える」
「……っ!!」
悪ノリなのだろうが、そういわれると売るほどではない喧嘩を買われたようでいい気はしない。
「だって、リオン忙しいじゃない。その内って流されたら次も流されちゃうよ。行けるときに行かないと」
「……」
少し表情を崩したのでこちらも気を和らげ……
「それは僕を忙しいと気遣ってではなく、行きたいから口実にしているんじゃないのか」
る理由にはならない。
「酷いな、ひとりで行ってもつまらないから誘ってるのに。でもイクシフォスラーは操縦できないから連行をお願い します」
「……」
一応、敬語で頼まれているので下手な反論ができない。
これが、操縦できないからよろしくね☆などの言い様だったら確信犯だと攻められるのだが。
「大体、リオンの言う大人って何をもって大人なの」
いつものがはじまってしまった。
「実年齢? 精神年齢? 個人的にはバカは一生バカだから後述を支持します」
「支持するのならそれで完結しておけ……」
自ら答えを出したのでいつもよりずっと早く……というか論争になる前に話題終了となる。
リオンがため息をつくと、は机上に広げていた雑誌のページをめくった。
「ノイシュタットは一番復興早かったよね。明日出勤したら輸送部に行って高速船がいつ出るのか予定表見てみよ う」
「ちょっと待て。そこでさりげなく普通の会話に交ぜて便乗作戦を立てるな」
大抵こんな感じだ。
興味を持つと、即調べまくり、実行に至るまでが異様に早い。
自分が連れて行かないと判断したのか、次点ではやく行きたい場所に行く方法を脳内に描き始めた模様。
「明日予定を見てみるから……一泊なら休みに絡めれば行けるだろうし、それでいいだろう?」
ものすごい妥協点だ。
は今すぐ行きたいようだからなるべく近いうちに休みを取ることになるだろう。
それを流すと行く気がなくなる。
割と風の吹くままだ。
すると今度は、いつかまた似たようなことがあった時に予定つけると言ったのにということを弱みを握られることに なる。
それは考えすぎかもしれないが、問題は早急に片付けておくべきだ。
「じゃあ私も明日予定見てくるね」
機嫌が直った。
リオンにしてみると、こういうことは最優先で解決すべき問題なのであった。
本人たちに、その意識があるのかは謎のまま。
2017.8.5(20190930UP)
ここ2年くらいまともに小説かけてなかったという証拠の発掘話。
そろそろ外出たり運動して感覚磨きなおします。
「そんな急に休みが取れるわけないだろう。その内、連れて行ってやるから我慢してろ」
「『その内』っていつ」
まず、ないことだが頬を膨らませそうな勢いで返された。
「その内とか一番当てにならない言葉じゃない。その内じゃなくて具体的に日にちを示してください」
「子どもかお前は」
「約束破るような大人になるくらいなら子どもで構いませんー」
子どもだった。
「リオン、私の嫌いな言葉は『正義』『奉仕』そして『その内』『また今度』だ」
「……」
DRPは今でこそしっかりした組織だが、そもそもが外殻落下直後はボランティア組織状態だったわけで、当初から 自分が参加している意識はあるのか……謎だ。
「特に強制ボランティアは嫌い。強制の時点でそもそもボランティアではない」
力説しているので何か嫌なことでもあったのかと聞きたくなるところを抑えて、沈黙に徹してみる。
割合総員に恩恵がもたらされるような知恵を出すあたり知らずに奉仕向きでありそうだし、正義はといえば、それら しいことを騒乱の時にしている訳だが本人的に主張する主義ではないのだろう。
もっとも主張する輩に限ってろくでもないのは否定できない。
哲学的なモチーフが出てきたところで、そもそもこれは何の話だったのか辿り返してみた。
「大体その内とかまた今度とか、できないなら言わないでほしいよ。そんなことでごまかすのが大人なら私は大人に などなりたくない」
「お前、僕より年上じゃないのか」
つい口をはさんでしまった。
「……」
返事がないということは肯定なのだろう。
本当のことは言わないが基本的に嘘はつけない人間である。
なお、現在リオンはすでに成年に達している。
「大体、僕はごまかしてなんかいないぞ。その内と言ったらその内行くから待ってろと言ってるんだ」
口をはさんでしまったのでついでに反撃してみる。
「僕がそんな嘘をつくように見えるのか」
「今の話題に限れば見える」
「……っ!!」
悪ノリなのだろうが、そういわれると売るほどではない喧嘩を買われたようでいい気はしない。
「だって、リオン忙しいじゃない。その内って流されたら次も流されちゃうよ。行けるときに行かないと」
「……」
少し表情を崩したのでこちらも気を和らげ……
「それは僕を忙しいと気遣ってではなく、行きたいから口実にしているんじゃないのか」
る理由にはならない。
「酷いな、ひとりで行ってもつまらないから誘ってるのに。でもイクシフォスラーは操縦できないから連行をお願い します」
「……」
一応、敬語で頼まれているので下手な反論ができない。
これが、操縦できないからよろしくね☆などの言い様だったら確信犯だと攻められるのだが。
「大体、リオンの言う大人って何をもって大人なの」
いつものがはじまってしまった。
「実年齢? 精神年齢? 個人的にはバカは一生バカだから後述を支持します」
「支持するのならそれで完結しておけ……」
自ら答えを出したのでいつもよりずっと早く……というか論争になる前に話題終了となる。
リオンがため息をつくと、は机上に広げていた雑誌のページをめくった。
「ノイシュタットは一番復興早かったよね。明日出勤したら輸送部に行って高速船がいつ出るのか予定表見てみよ う」
「ちょっと待て。そこでさりげなく普通の会話に交ぜて便乗作戦を立てるな」
大抵こんな感じだ。
興味を持つと、即調べまくり、実行に至るまでが異様に早い。
自分が連れて行かないと判断したのか、次点ではやく行きたい場所に行く方法を脳内に描き始めた模様。
「明日予定を見てみるから……一泊なら休みに絡めれば行けるだろうし、それでいいだろう?」
ものすごい妥協点だ。
は今すぐ行きたいようだからなるべく近いうちに休みを取ることになるだろう。
それを流すと行く気がなくなる。
割と風の吹くままだ。
すると今度は、いつかまた似たようなことがあった時に予定つけると言ったのにということを弱みを握られることに なる。
それは考えすぎかもしれないが、問題は早急に片付けておくべきだ。
「じゃあ私も明日予定見てくるね」
機嫌が直った。
リオンにしてみると、こういうことは最優先で解決すべき問題なのであった。
本人たちに、その意識があるのかは謎のまま。
2017.8.5(20190930UP)
ここ2年くらいまともに小説かけてなかったという証拠の発掘話。
そろそろ外出たり運動して感覚磨きなおします。
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