意外なスキル(シャル日記)
「なんだか、今日は腕がすごく疲れた感じがするわ…」
今日も今日とて、ロニを流連弾でフルボッコにしてしまった聖女様はため息をつきながら、か弱く言った。
「リアラ、大丈夫!?」
心配するなら俺をしてくれというロニの遠い目線を背中にカイルは心配の声をかけている。
「今日はもう町に入るからゆっくり休め」
誰に対してのフォローかよくわからない坊ちゃんの良心的な一言で、うんうんとそれぞれの解釈で皆がうなづいている。
宿をとって、なぜか集合。
まだ時間が早いせいもあるだろう。
割と寒い地方なので部屋が温まるまで、広間の暖炉の前にいた方が暖かいというのもある。
「今日は妙にモンスターも多かったしなぁ…俺もあちこち痛い気がするぜ」
「年のせいだろ」
坊ちゃんは18年前の片鱗を見せる平やかなテンションのつっこみを絶妙のタイミングで繰り出している。
そういえば、ウッドロウもあの時23才だったろうか。
「老け込むなよ」と彼の賢王すらもつっこまれていたことがあったっけ。僕は懐かしく思い出した。
「なっ、こんなぴちぴちの俺を捕まえて年ってお前なぁ…!」
「……なんだかみんなお疲れ気味だね。ハンドマッサージでもしてあげようか」
「マジか!!」
の発言でこれまでの流れは仰天の勢いで逸れた。
それはそうだ。は基本、人に触れるのも触れられるのも好きではない。
そのあたりは坊ちゃんと共通項というか、お互い必要以上の距離に踏み込まないので安心していられる節はある。
そのパーソナルスペースが常に確保されているの方から「触れる」という単語が出たのだ。僕だって驚きだ。
しかも、マッサージ?
「実は、結構興味があって割と特技になっていたりする」
「ホントに!!?」
まだカイルたちと出会う前。
坊ちゃんが戦闘を双剣のスタイルに変えたばかりの頃だ。その理由を看破して僕の後押しもあっては坊ちゃんの利き手であった左腕を時折マッサージしていた。
そして、坊ちゃんを眠りの淵に落としたことがある。
僕はその、この上なく珍しいその光景を思い出した。
「本当は足つぼとかの方が面白いんだけど、足はね。嫌です」
「あぁ、そうだね」
「嫌よね」
どキッパリ言ったに次々同意する女性陣。
「なんだよそれ! ギリギリで手ってことか!? 俺の足はそんなに嫌か」
「うん」
即答。
別にロニの足じゃなくても男性の足にはは触りたがらないのではと思う。
色々理由はあるが、女性陣共々僕も察した。
「リアラも腕疲れたって言ってたよね。する?」
「いいの?」
なんとなくずーんとロニが沈んでしまったので、敢えてそちらは放っておいてはリアラに向き直った。
リアラはすごくうれしそうに、なんとなくわくわくしたような表情で細い腕をに差し出した。
はどこからかクリームを取り出してその腕に塗る。
「あっ、いい香り」
「でしょ。香りでもリラックスできるからね」
ふわりとあたたかな香りが暖炉に温められた空気に乗ってラグの前に流れた。
「クリームを塗るのは、皮膚を摩擦で傷つけないためなんだよ。筋トレの後のマッサージとは違うんだ」
「へぇへぇ、俺はその間に一人さみしく足でも揉み解してますよ」
「足は揉むと血栓ができていた場合飛ぶこともあるからね。最悪、心臓とか脳に詰まって、死にます」
「そうなの!!?」
豆知識なリラクゼーション講座が始まりそうな予感、
「基本的に適度に体を動かして、食事もきちんととってる奴はそうそう血栓などできないはずだがな」
「まさかのジューダスも知ってるパターン!?」
自分がしてもらっていたことを思い出していたのか黙っていた坊ちゃんがようやく会話に参加してくる。
坊ちゃんの場合は、剣士の心得というか訓練後のクールダウンやアフターケアもセットで叩き込まれているわけだから、常識なんだろう。
「へぇ意外だねぇ」
「僕はマッサージなど興味ないぞ。この知識は自己管理の一環だ」
うまくぼかした。
「マッサージって言っても流派が色々あるんだよ。強くツボを押したり、筋膜をリリースしたり。でも結局、その人に合わせてやるのが一番だと思う」
「すごく気持ちがいいわ」
リアラは目をつぶってとてもリラックスしているようだ。
なでるようにやさしい感じで指先から上へ向かってほぐしている。
それは心も体もほぐれるだろう。
何せ、坊ちゃんが落ちたくらいだから(二度目)。
……口に出したら絶対に怒られるから間違っても言えないけど。
「なんだかすごく軽くなった感じ」
両腕が終わるとリアラはありがとう!と笑顔でお礼。
これで明日から前衛陣が体制を崩しても、流連弾で後衛も安心だろう。
カイルは全くの元気で、それでも興味はあるのかリアラに感想を聞いている。
「じゃ、次ナナリー」
「あたしもやってくれるのかい?」
「つーか、俺は?」
女性優先。と言ったのでまぁやる気はあるんだろう。
手袋をとって、ナナリーの腕も同じように優しくマッサージする。
「気持ちがいいねぇ」
夢見心地な顔をしている。
そして終わると肩を回しながら言った。
「自分でも気を付けてるつもりだけど、やっぱり人にやってもらうのとじゃ全然違うね」
「そうね。すごくリラックスできる気がする」
評判は良好だ。
「ナナリーは右手が少し硬い感じがする。やっぱり弓を使って、利き手だからだと思うけど……」
「そうかい? じゃあもっと今度は右手の方を重点的に自分でもケアしてみるよ」
さすが、自立心が強いというか。こちらは訓練されているわけではないけれど、自分の身体の管理もきちんとする気満々だ。
体は、元気の資本だね。
「さて」
ようやく放っておかれたロニに向き直る。
「ロニ、どうする?」
「どうするって、やってくれんじゃねーのかよ」
女性優先にはまぁ納得しているので、なんだかんだ言いながらおとなしく待っていたらしい。
「んーじゃあやろうか」
その瞬間、坊ちゃんからなんというか、言葉にするのも微妙な感覚が流れてきた気がしないでもない僕。
ホープタウンでケガをしたにヒールをかけるために毎度毎度の手を取っていたのを監督していた時のそれに似てる。
うーん、坊ちゃんのマッサージもすでにしてくれているとはいえ、今回は坊ちゃんに声がかからないわけで、……男心は複雑だ。
しかし、その複雑な感覚は、次の瞬間吹き飛ぶことになる。
「ロニ、肩とか首は平気?」
心なし女性陣より強めに、なでるというより扱くといった感じで一通り流すと、聞いた。
「あー、やっぱ右肩に来るときはあるな。肩っつーか、首っつーか」
「ふーん」
重いハルバードなどが武器なので、それこそセルフケアをしないと壊れやすいだろう。
壊れるほどやわではないが、まめにそういうことをするタイプにも見えない。
ロニは左手を自分の右肩に置くと首を大きく傾げたり回したりしてみせた。
「って、痛ってぇ!」
「大げさだな」
「そうだよ、ちょっと右手を揉まれただけじゃないか」
「全然痛いところなんて、なかったわよね?」
仲間たちから口々にかかる声。は無言でロニの右手を揉んでいる。
やはり、こころなし強めに。
ロニの手自体が大きくて硬いのだからこれは仕方ないだろう。
まぁ、坊ちゃんの時はもっと優しさがにじみ出てる感じだったけどね(どや顔)
「いや、結構痛……そうでもないか? 急にそんな感じがしたからか?」
疑問が口に出ている。
「あのね、首、肩が凝る場合は親指の付け根から手首にかけてが原因のこともあるんだよ。ロニは少しここら辺に来てる」
「痛ぇよ!」
僕は……というか、坊ちゃんはの指先が今まで見たこともないくらいすごい力を込めてグッとロニの手のひらに沈むのを見た。
すごいといっても、の力なのでそんなにすごいわけでもないと思うけど。
「そうなんだ」
「まぁ人間、筋肉も皮も結局つながっているわけだからな。どこかが捻じれればどこかにゆがみが出ても当然か……」
扱いの差がはっきりしたせいか、坊ちゃんのロニとを見る目は冷静超えて嘲笑すら混じって見える。
それから女性陣とも明らかに違う雑ぱくさでロニのマッサージ終了。しかし。
「お? ……マジで軽い。なんだこれ!」
「ホント!? 痛かったんじゃないの?」
「いや、腕だけじゃなくて肩が軽い。すげーよこれ」
わいわい。
ちょっと痛い思いはしたが、上回る効果を実感したのかロニは感嘆している。
「意外と、腕は問題なかった」
「お前何か別の期待をしていたんじゃないのか」
坊ちゃんと同じく相変わらずのテンションでぽつ、とつぶやいたのを聞き逃さない。
「ジューダスもやる?」
「今の流れでそういわれても嫌な予感しかしない。遠慮しておく」
えー、と若干不満そうなの顔。そもそもなぜこういうことに興味を持ったんだろう。
皆目見当つかない。
「……ロニ」
何かが起こる予兆だ。そのためのターゲットが定まった模様。
「なんだ?」
ご機嫌な様子で振り返るロニ。
「足も試してみる?」
「「「『えー!』」」」
まさかの発言。
さっきあんなに嫌がってたじゃない! それはやめておこうよ、なんとなく!
ナナリーたちも口々にやめておけと説得しているが、気が変わったのかは
「足をきっちり洗ってきたらやってもいいよ。時間的にフルコースは無理そうだけど」
フルコースって……確かに丁寧に3人やった時点で1時間以上経過している。
今更なんだけど、根気のある人だ。
「きっちりって……まぁ確かにまだ風呂にも入ってねーけどよ……」
うん、まぁはきれい好きだから風呂にも入ってないブーツの中の素足なんて触りたくないだろう。
「どっちにしても普通は足湯とかで少し血行よくしてからの方が効果あるから」
「そうなのか?」
理論がきちんとあったことでロニも乗り気で足を洗いに行った。
「だからって……」
「あいつの足なんて……」
「菌がうつっても知らんぞ」
散々。
「誰がなんの菌を持ってるってんだよ……」
延々とそんな会話が続いていたので、ロニの耳にもそれが届いたところで終了した。
「ってか、その手袋どこから……」
はちゃっかり薄い手袋をしている。
家事用とか、防寒用じゃない。僕はそれと似たようなものを見たことがある。
よくハロルド博士がしていた。術用の手袋だ。
……まぁ、施術と言えば術だから、間違ってはいない。
「これだと指先の感覚もわかるから、ばっちり!」
「足を洗わせた理由は」
「それはそれこれはこれ」
誰もが納得する立派な理由だった。
「まぁまぁ、とにかく椅子に座って」
用意した椅子に勧める。ロニの座る前には膝を立てて片足をとる。
「おっ、王様になった気分だな」
「………………」
ナナリーのサブミッションが決まる前に、はうつむいて表情の見えないまま、暖炉の中から火箸を素早く取り出した。
それを今しも突き立てん形で左手に持つロニの足の甲に向ける。
「すまん! 調子に乗りました!!」
すぐさま謝罪をするロニ。言ってはいけないことを言ってしまった。とはいえ、は仲間の足に焼け火箸を本気で突き立てるほど非情ではないので、相応の謝罪があればきちんと収める。
「まったく。こんな奴の足なんてもんでやることないって」
「いや、足つぼだから。人体の神秘だね」
「? ? ?」
クリームを足裏にこすりつけていたは静かにため息をつきつつ
「いっ痛ででででででで!!!!!!!」
なんでもないかのように少し力を入れてロニの足の裏を押した。……ように見えた。
「痛ぇー!!!!」
悶絶、絶叫。
宿の1階にいた人たちすべての視線が集まるのも必然だ。
しかし、の表情は特別、変りはないしものすごく力が入っているという感じでもなく。全員の顔には疑問符しか浮かばない。
……いや、全員じゃない。
坊ちゃんだけは呆れたようにそれを見ている。
何か違ったものが見えたんだろうか。
「足裏には、反射区って言って全身に対応するポイントがあるんだって」
「そ、そうなの?」
「痛ぇ! やめろ! 拷問か!!!」
構わずには続けている。
「一応、最初は腎臓に対応する場所からやるといいらしい。腎臓っていうのはろ過装置みたいなもので全身の汚れが集まりやすい場所だから、大体 痛い」
「確信犯かよ!」
大げさにのけぞっていたロニは涙目だ。
そして坊ちゃんの見ているものを僕も見た。
は手を軽く拳として握っていて、ひとさし指だけかぎ状にして、それをそのポイントとやらに押し込んでいたらしい。
これは、指の腹でやられるより、ピンポイントに力が入るだろう。
僕は足つぼなんてやったことはないからわからないけど……本当に痛いんだろうか。
「基本的に、身体の悪いところが痛いんだって。だから人によって痛いっていう場所も違うんだ」
「ひとつ訊くが、お前は逆にやってもらったことがあるのか?」
「街に着いて時間があるときはそういうお店があると行ってみることもあるよ」
うーん。は興味を持つと、教わらなくても見て盗む…というと聞こえが悪いけどすごい勢いで自分から吸収してしまうタイプ。その上、徹底的に本なんかでも調べだすからこれ、実は下手なプロ超えてるんじゃないかな。
きちんと理論も身に着けているっぽい。
「普通はどこか凝ってるとかいう人が行くところみたいだけど、私、自分でそういうのよくわからないから……」
「まさかどこに気を付ければいいのか確認するために行っているのか」
「民間療法だから妄信はしないけど、割と当たるのが面白くてね」
「痛って! 何そこ!」
確かに腎臓ポイントを終わると痛くないとわかったのかしばらくおとなしくなっていたロニ、そして興味深そうに見ている面々だがロニが再び悲鳴を上げた。
「ここは、肝臓。最近、大量にお酒を飲みませんでしたか」
「そういや前の町でまたフラれたとかいって、酔いつぶれてたことがあったね」
「しばらく調子悪いとか言ってたわよね」
心の傷を容赦なく抉り出すナナリーとリアラ。
違う意味でロニは泣きそうだ。
「ここは痛いって言ったら笑ってしまうところかな」
親指から、各指先を丁寧というよりぐりぐりとほぐしている。
「いや、そこは痛くねーよ?」
「対応するところはなんだ」
「頭」
なるほど、痛がると「頭、悪い」になるわけか。
すぐに全員が反応した。
「それは痛くないとおかしいんじゃないのかい?」
「ロニ、大丈夫? 痛すぎて痛覚がおかしくなってるとか……」
「バっ…! それはカイルにやればわかることだろ!」
「えー! なんでオレ? 酷いよ、ロニ~」
「そうよ、酷いわ! ロニ」
……君らの方が、酷いよ。
僕は静かに、女性のしたたかさを眺めるだけだ。僕にはそれしかできない。
「ここが目、耳、僧帽筋。……胃も痛がらない。まぁ強そう」
「お前までどーいう意味だよ」
「え、なんとなく」
イメージの問題だよね。
「医者じゃないから診断はできないけど、概ね健全な感じ。でもここら辺に何かある」
「何かって何……だーーーーー!!!!!!」
痛かったらしい。
「何かって、何だい?」
ナナリーが代わりに聞いた。
「大体痛がる場所って、コリコリした何かがあるんだよ。たぶん、それほぐすと楽になると思うんだけど……」
「その前に地獄の苦しみを味わっているようだが」
「っていうか、って力そんなにない感じなのに、ロニをこんなに悶絶させるとか、すごいよね!」
感心する場所はそこなのかな。
でもは、そんな明後日を向いた疑問にも律儀に答える。
「力はそんなに必要ないよ。指の腹で押すと疲れるけど、場所によって関節を使うんだ」
そして、さっき見た鍵状に曲げた人差し指の形を見せてくれる。
「こうやって、ここの関節に力を入れる……というか、体重を乗せる感じで沈みこませると、結構効く」
「効きすぎだよ、いてーよ!!」
「でも一番効かすには上から下に押すんじゃなくて、下からねじ込むようにするとすごい奥まで入る」
「ぎにゃあぁーーー!!!!」
近所迷惑なくらいの絶叫。
ちなみにさっき教えてもらった腎臓ポイントっぽい。
「この時は相手の体重とか体勢を利用する。ちなみに上から下に押す場合は、グーにして中指で押すのも割と楽」
「そこも痛い! なんだそこはーーー!!」
「なんだって言われても……一度入りだすと割と入りやすいから、こうなってくると大体どこも痛がると思うよ」
「あはは、思い込みっていうやつかい?」
「いやいやいや、マジで痛いから。お前もやってもらえ! その痛い性格が治るかもしれないぞ!」
「、ちょっとあたしにもやらせてみてくれないかい?」
「どうぞ」
言われたとおりに指を鍵にして思いっきりねじ込むナナリー。
力的にはより上だからだろう。ロニはエビぞりになって悲鳴を上げつつ謝っている。当然、ナナリーは手を緩めない。
「最後に痛がってたところに近いのは腰だよ。ロニ、どちらかというと姿勢が悪いからかな……」
そういえば、腰を折ってる姿とかよく見るね。身長が高いせいかな。
口には出せない。
「すごいや、全然力使わないのにあんなに痛がるなんて!」
「そこは感心するところじゃない」
というか、感心の仕方が間違っているというか……
「ふふ、はわたしたちには優しくやってくれたものね。いろんな方法があるのね」
「ロニは遠慮なしでも平気そうだから」
あ、リアラやナナリーには遠慮してたんだね。
じゃあ坊ちゃんは? ……やさしさの80%で出来ています的な何かだろう。僕は勝手に結論付ける。
「あれが面白いのか?」
なのに坊ちゃんは、自分は遠慮しておいてよかったなどと思っている。大丈夫です。はちゃんと人を見てますよ!
「あれも面白いと言えば面白いよね。突き詰めると人体の構造とかも知ることになるから面白んだけどさ」
そこは面白がるところなのかな。
もっとも、根拠のない民間療法だったらも手は出さないだろう。
あまり強く押すと発熱してしまう人がいるとか、大げさに痛がる人は男性に多いらしいとか、はその道の人たちから聞いたことも教えてくれる。
悲鳴を上げ続けているロニたちは別世界に置いたまま。
「自分の身体のメンテは本来は自分でするものだろうけど……人にやってもらうとやっぱり気持ちいいものだよ」
「あれでもか」
「フットリフレはある意味、別物です」
フットリフレ。リフレッシュとかじゃなくてそれはリフレクソロジーのことらしい。
つまり、最初に言ってた反射区ってやつ。
うーんどうせならリラクゼーションとかの方がいいなぁ…
僕にはどう頑張ったって、してもらえないけどさ。
「ジューダスは久しぶりに腕のマッサージしてあげよっか」
「間に合ってる」
二度断られると、さすがにも残念そうだ。
別に痛くされるわけじゃないんだけど……
「大体、お前は人に触れるのは嫌いだろう。なぜマッサージなんか得意なんだ?」
「あぁいうのが面白いっていうのもある」
あぁ、確かに本人は痛がってるけど周りはなぜか楽しそうだ。
「反射区で本当に反応するのも面白いし、人によって違うのも不思議だし、……と言ってもほとんど人にはやらないけどね?」
「確かに見たことがないな」
「でも、リアラやナナリーなんかは気持ちがいいって言ってくれたでしょ。自分が楽しいと思うことをして喜ぶ人がいるって、いいことじゃない?」
足つぼ、除外。
それとも、周りがある意味、喜んでいるからいいんだろうか。
「まぁ……真理だな」
それはWIN-WINの考え方ができる人間でないとたどり着けない場所だろう。
今回の件がそこまで深い意味を持っているとも思えないけれど。
『じゃあたまには坊ちゃんがのマッサージしてあげたらどうですか』
「なっ……」
突然の僕からの提案に、返答を窮する坊ちゃん。
「いいよ、落ち着かないから」
「…………」
断られると複雑だ。
『えー、せっかく坊ちゃんがいつも気を張ってるにリラクゼーションを提供してくれるっていうのに……がっかりー』
「待て。なぜお前ががっかりするんだ」
『僕には今の坊ちゃんの気持ちと、さっきのの気持ちがわかります』
「でたらめなことを言うな!」
「……私とジューダスの気持ちっていうか、それシャルの気持ちだよね」
「ナナリーさん? そっちはもう足じゃないですよ?」
「全身整体してやるから感謝しな!!」
「ぎゃあぁーーー!!」
あっちはあっち、こっちはこっちで。
暖炉の前で、いつも通りの、いつもの時間。
2020.2.20筆(4.22UP)
足つぼは、人を見ながら加減する。(5.7.5)
正社員なのにフットリフレの店長から何度も一緒に働きましょうよ!と誘われた私が書いてみた。
なお、足裏は割と刺激に強いようにできているので、ナナリーがロニにしこたまやっても壊れないと思います。
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