ツインコンチェルト 7
アオスブルフの西の端に、その塔はあった。
「この塔の名前もオルディネか、そういえばウィスもさっきオルディネの塔がどうとかいってたけど、むこうにも同じ名前の塔があるの?」
「あぁ、オルディネの塔は、遥か昔……まだふたつの世界が交流してた頃に使われた連絡塔らしい。こういう場所がいくつかあって、それらはみんなオルディネと呼ばれているようだな」
階段を上がりながら、イーヴが「へぇ~」と感心している。仮にも自分たちの根城が異世界への通路だなどと、思ったことはなかった。
「私はその塔で、姿を消したってこと?」
「まぁ……そうだな。起動実験中だったから、そのままこちらの世界に落ちたんだろう」
落ちたという表現が正しいのかどうかはわからないがそれで納得する。人気もない塔に荷物もろくに持たずに倒れていた理由。合点がいった。
「それが、三年前か……その頃からアースタリアはセレスタイトに来る予定を立てていたってことか?」
「そうなるな。オレが任務を下されたのもその時だったから」
「任務? 世界を滅ぼす?」
「まぁ、同意だ」
なんとなくかわされた感がある。
は敢えて触れずにひたすら階上を目指す。
一時間も経ったろうか。さすがに途中休憩を入れつつ、登りきるとそこには祭壇のようなものがある。
それから、何かの装置。ほこりをかぶっていたが、ウィスが取りだしたカードでなんなくそれは動き出した。
「こういうものを放置してるあたり、こっちの世界は向こうの世界と違う進化形態を選んだんだろうなぁ」
もったいない。
は興味深そうにウィスの手元をのぞきこんでいる。
「お前の方が得意分野だったんだぞ? 早く思い出してくれよ」
更に小さなディスクを挿入する。ヴン、と音がして部屋の中央に描かれていた法陣が淡く光を発した。
「これで五分後には、屋上からアースタリアへ飛べるようになる。すぐに行こう」
屋上へ上がると、そこは
の知っているオルディネの塔の光景とは違っていた。元来、何もないはずの屋上の床には光が走り、やはり法陣を描いている。そこから晶術を使う時に見られる光の粒子がふわりふぅわりと中空へ漂っている。ウィスはためらうことなく法陣へ足を踏み入れた。
「ここから飛ぶと、どこへ出られるの?」
「ここの出口は確か……バハムート・ラグーンの星晶研究所の近くだ」
「研究所! ……」
「はは。
、行ってみたそうだな」
フィンの指摘は正しい。情報が集まりそうなところであるし、個人的にまっさきに入り込んでみたい場所でもある。
「やめておけ。……と言いたいが、リスクに比例してリターンも多い場所かもしれないな」
「リスクって?」
「まず、ソル達がどう動いているかだ。オレはもう研究所の奴らにも顔を知られているから危険かもしれない」
「でもあんた、今、逃亡者状態なんでしょ? 逃亡者がミラージュに戻るなんて普通考えないわよね」
ウィスは視線を落としてなにやら考え込んでいる。しかし、
「……行こう。あれこれ悩んでも仕方ない」
「ですね」
フィンとリエットは行く気満々だった。
「ウィスが危険だっていうなら私たちだけで行ってみてもいいし」
「その方が危険だろう」
案内役はどうするんだ、とウィス。どういう意味で危険なのだろう。なんとなく含むものを感じて閉口する
。
「ではウィスに案内をお願いしますね」
リエットはにこにこと上機嫌だ。異世界に行くと言うのになんというか肝が据わっているというか、天然と言うか……
とは違う意味で楽観的だ。
時間になると、光は増し、柱となって天へ上った。もしかしたら遠くナイトフレイからも見えたかもしれない。それは一瞬の出来事だった。
「着いたよ」
去った光にそっと目を開けるとそこは、塔のふもとだった。おそらくミラージュ……アースタリアのオルディネの塔だろう。こちらも遺跡のような風体は変わらず、辺りは緑に包まれていた。
「なんだか、異世界に来たとは思えないわね」
「はい、私たちの世界とあまり変わらないです」
空を見上げれば同じように、ミラージュが映り込んでいてあの天の水を突っ切ってきたとはとても思えない。ウィスがいなければ現実感はなかったろう。
「星晶研究所は南だ。行こう」
伴って歩き出す。目的の場所までそれほど距離はなかった。研究所も同じ森の中に建っていた。
「オレが一人で行ってみる。ちょっと待っててくれ」
「大丈夫か?」
「あぁ、ソルの手が回っていても全員で捕まるわけにはいかないだろう?」
木陰で待機する。ウィスは警戒するふうもなく研究所に入って行った。そして、程なくして出てくる。手招きをされていくと特に問題はないようだった。
それでもいつ、何の手が伸びるのかわからないので早々に必要な情報を集めるにこしたことはあるまい。
「まずどこに行くです?」
「個人的には、この研究所をあちこち探索してみたいけど……」
「こら。目的が違うでしょ。ちょっとあんた。手っ取り早く現状を説明してくれる人、いないの?」
セレスタイトから来ました、教えてください。なんて言うつもりだろうか。それは無理がある。
「気は進まないが……」
ウィスは呟いた。
「アーネスト博士のところへ行ってみるか」
「アーネスト博士?」
「あぁ、星晶研究の第一人者でね。いわゆる『天才』という人種」
「そんな人と知り合いなのか。凄いな」
ちっとも凄くない。ウィスはなぜかそんなことを言いたげな顔をした。それに複雑そうに眉が寄っている。
目当ての研究室につくとドアは自動的にスライドした。
「あれ、ウィス様? いらしてたいんですか」
振り返ったのは一人の研究者だ。白衣を着て、およそフィールドワークは似合わないであろう頼りなさげな体型をした男性だった。見るところこの部屋にはその一人しかいない。この人がアーネスト博士だろうか。
「アーネスト博士は?」
違ったらしい。
「自室ですよ」
「……そう」
なぜか嫌そうな顔をした。
「邪魔よ~」
「!」
ドカッ。
その時背中から不意打ちを食らいウィスが前のめりに部屋に一歩踏み入った。
「どいてどいて~」
背の高い女性が犯人だった。ウィスは蹴りを食らったのだ。両腕に荷物を抱えた人物はだが、ウィスを見て「あら」と足を止めた。
「ウィス君じゃない。どうしたのー?」
「アーネスト博士! 何をするんですか!」
「あらあら、ウィス君だとは思わなかったのよぅ。調子はどう? メンテナンスす・る?」
「死んでもい・や・で・す」
どうやらこの女性がアーネスト博士らしい。背が高い割に童顔に見えるが、ホットパンツにニーハイブーツ、その上に白衣をひっかけるという研究者としては異色の格好だ。化粧をしているところを見るとそれなりの年だろう。どういう関係なのか、なかなかフランクな会話である。
アーネストはざっくりと断られると残念そうな顔をしながら研究室に入って、机の上に荷物を降ろした。
「こっちの子は……あら、ひょっとして
?」
「え……私を知ってるんですか?」
「写真で見たことあるわ。ウィス君の双子の妹だったわね~。でも死んだんじゃなかった?」
なんという直球。人差し指を頬に当てて「?」を浮かべていると、ウィスがひっぱたきそうな勢いで詰め寄っている。
「余計なことは言わなくていいんですよ」
「失礼ねー私の言葉はいつだって意味のあるものよ?」
どの辺りにどんな意味があるのかわからないが、あまりのマイペースっぷりに他の仲間は唖然としている。
「他の顔は知らないわね。紹介してくれる?」
「リエットです」
「フィン=サクセサー」
「イーヴよ」
ふんふん、とアーネストは聞いてしっかりとインプットしたらしい。
「それで~、何か用かしら?」
「いろいろと聞きたいことがあって……」
ちらりと研究者を見る。できれば、余計な勘ぐりは避けたい。研究者は己の仕事に精を出して特にこちらを気にしている様子ではないが、アーネストは察してくれたらしい。
「のどが渇いたわねー。食堂にでも行きましょ」
にっこり微笑むアーネスト。
……余計人目がある気がするんですけど。
それとも木を隠すなら森、なのだろうか。食堂へ行くとぽつぽつと人はいるが存外誰もこちらを気にしなかった。
アーネストはセルフサービスで落としてあるコーヒーをカップに注ぐと大量生産らしき椅子に座る。勧められて
とウィス以外のみんなもコーヒーを手に席についた。
「それで、聞きたいことなんですけど」
フィンが口火を切る。しかし「ちょっと待って」と言うとアーネストはジェスチャーでも制止した。
「?」
「当てて見せるわ。……ずばり、あなたたちはセレスタイトから来た。違う?」
「な、なぜそれを……!」
「バカ! 乗るな! 博士の良く使う手だぞ」
フィンとリエットが思い切り驚いてしまったので引き下がりようもなかった。ウィスの言い方だと、よくやることらしい。
「あら、当たっちゃった? ……じゃあ続けるわね。実は両方の世界を救済するために来た!」
「……!!」
だから。
フィンとリエットが学習能力むなしく「はい、そうです」という反応を繰り出している。それを見て
とウィスは頭を抱えたくなった。
「なんでわかるのよ」
「任務遂行中のウィス君が連れてきた人たちだからっていうのもあるわ。あとはそうね、その方が面白いかな~って」
「……だから嫌だったんだよ」
ウィスが沈痛な面持ちで呟いてもアーネストは、ふわふわと笑っている。
「ウィス君? データ管理者としてあなたの体内のエルブレスを今から計測するわよ?」
「! やめろ! 今はそんな場合じゃないと……」
なんだかとっくみあいになっているので、眺めてみる。イーヴが見かねて二人を引き剥がした。
「もーいいところだったのに」
「今はそういう話じゃないでしょ」
「しょうがないわね、話が終わったら検査よ~?」
どこまで検査にこだわるのだろう。アーネストは再び席に落ち着いた。
「何が聞きたかったのかしら??」
あ、ノー敬語ノー敬称でいいわよ、とアーネストは付け加えて言葉を待つ。顔を見合わせ、切り出したのは
だった。
「本当に、セレスタイトは滅びなければならないの?」
「うーん、アースタリアが先に滅びれば、あちらの世界は助かるんじゃないかしら~?」
「自分の世界でしょ? なんて言い草なの」
イーヴが呆れている。
「ごめん、聞き方が悪かったね。本当にどちらかの世界が滅びなければ、今回の危機は乗り越えられないの?」
「その可能性については私も模索したのよね~。一概には、そうでもないみたいよ?」
意外な答えだった。いともたやすく解決の糸口がみつかったようだ。
「本当ですか?」
リエットが笑顔で身を乗り出した。勢いでコーヒーがこぼれそうになる。
「あなたたち、輝石が何のためにあるかは知ってる?」
「輝石って、大晶石のことよね?」
「そっちでは大晶石って言うのね~。その大晶石は元々、セレスタイト創生時に、こちらとあちらを支える天井……アクアスクリーンを維持するために設置されたシステムなのよ。星の意思(イニシオ)から生まれたエルブレスを大量に集積し、水の大晶石に集めて空へ送る。そんな感じでイメージするとわかりやすいわ~」
「星の意思(イニシオ)?」
初めて聞く言葉だ。いや、それとも元は知っていたのだろうか。
の復唱に答えたのはウィスだった。
「星の意思(イニシオ)は、万物を生み出す存在と言われている。人も自然もエルブレスも、そこから派生したものと言われている」
「うーん、少し違うわね~。この場合の星の意思(イニシオ)は創世時に作られたもののことよ。『言われてる』んじゃなくて、エルブレスを生み出してるの。間違いないわ」
「? ? ?」
今のアーネストの説明はウィス向きだったのだろう。ベースがない分、よく理解できない話し方だ。ましてや他のみんなは、いままで馴染みもなかっただろう言葉の連発に混乱をきたしているようだ。
「とにかく、大晶石はアクアスクリーンを維持する鍵なのよ。それをウェリタスで叩き壊す。すると世界が弱体化してそっち側にアクアスクリーンが落ちる。とどめに星の意思(イニシオ)を止めて世界滅亡、となるわけ~」
「ウェリタス?」
「……ちょっとウィス君? まさかウェリタスのこと話してないの」
相変わらずニコニコしながらアーネストはウィスに問う。ウィスは瞳を伏せて黙る。何かを察したのか「しょうがないわね」とカップを持ち上げてアーネストはコーヒーを口にした。
「ウェリタスは、星の意思(イニシオ)の制御装置みたいなものよ。ついでに出力も入力も出来ちゃう優れもの☆」
「ねぇアーネスト。さっきから気になってたんだけどウィスの言う星の意思(イニシオ)とアーネストの言う星の意思(イニシオ)は違うの?」
「えぇ、ウィス君が言っていたのは、本来この星にあった『星の意思(イニシオ)』で、私が言ったのは、後から人工的に作られたもののことだから」
「その本来あった星の意思(イニシオ)ってどうなってるの」
本来、というからには今はないのであろう。しかし、なぜ?
は聞いた。
「眠ったままよ? その様子だとそもそもどうして世界がふたつになったかも知らないようね~」
「ふたつになった、って……はじめからふたつだったわけじゃなくて、元々はひとつだったのか?」
フィンの手はカップに添えられたままだ。飲む隙もない会話だった。
「そうよ~。あなたたちの世界で言う創世暦にね、セレスタイトは人工的に作られたのよ」
「私たちの世界が作られた、ですって?」
「資源の枯渇云々で世界は一度滅びかけててね。その時に救済措置として次元を二つに分かち、鏡面世界を作り出した。いわゆるノアの箱舟というものだったのかしら~? 星の意思(イニシオ)も次元を隔ててふたつの世界に存在していたけど、もう星は死にかけていたわ。そこで、当時の人々は擬似的な『星の意思(イニシオ)』を作り出し、セレスタイトを新たな世界として復興した。アースタリアはそのまま滅びるはずだった」
「けど、意外と世界はタフで滅びなかった。結果、ふたつの世界が出来てしまった、と」
「そうその通り、ね」
アーネストはまた一口、コーヒーを口にする。それで終わりだったのかカップの持ち手を指にひっかけてくるくると回した。おっとりしているのか、フランクなのかよくわからない人だ。
「それで……」
話が大きく逸れたが、それぞれが脳内で整理していると話を戻したのはウィスだった。
「輝石が、今回の危機を乗り越えるのにどう関係しているんですか」
「ウィス君は知ってると思うけど、ウェリタスは実はアースタリア側の星の意思(イニシオ)の制御装置なのよ。あ、この場合の星の意思(イニシオ)っていうのは人工の方のね。ウェリタスを介し、アースタリアのエルブレスの力で大晶石を砕きその力を抽出する。セレスタイトのエルブレスは弱体化し、ついでにアースタリアの星の意思(イニシオ)が活性化するわ。そして、考えたのはアルディラスを用いた場合」
アルディラスとは何か、聞かなくても推測は出来た。ウェリタスがアースタリアの星の意思(イニシオ)の鍵ならアルディラスはセレスタイトの星の意思(イニシオ)の鍵。そしてそれを使うことにより、何が起こるか。推測どおりの答えが待っていた。
「アルディラスはあなたたちの世界の制御装置よ。それを用いることでどうにかなるんじゃないかしらーなんて」
「根拠は?」
「勘よ」
……。
落ちる沈黙。勘は経験から来る場合も多い。天才、と称される彼女を信じるべきか否か。
「大晶石と星の意思(イニシオ)の関係ってどんな感じ?」
「それはさっき聞いたんじゃないか?」
「じゃなくて、もっとこう……例えば、星の意思(イニシオ)はエルブレスを生み出すって言ったでしょ? 世界に放出されたエルブレスは三つの大晶石により集積され、集積されたものが水の大晶石から出力される。……星の意思(イニシオ)はどこにあるの?」
「大晶石の根っこよ」
アーネストはけろりと言った。
「……大晶石ってそんなに根が深かったのか……」
世界に散らばる大晶石がつながる場所と言えば星の核ほど深いのではないだろうか。頭の中で図式化しながら
は頬杖をついた。
「ついでに放出されるエルブレスの半分くらいは直接大晶石に注がれてるはずよ~? だから、それを取られると水の大晶石にエルブレスが集まらなくて、アクアスクリーンが不安定になってくるってことね。ただ、大晶石の受け持つ役割は、星の意思(イニシオ)の活動がある程度安定するまでのまでのものだから、安定した後なら他の大晶石は砕いてしまったほうがいいのよね~」
「ちょっと、今、なんて……?」
「だから、砕いちゃったほうがいいって」
再び落ちる沈黙。誰もが「それをやればいいんじゃないか?」と思っているに違いない。
は肝心なことを尋ねる。
「星の意思(イニシオ)が安定するのってどれくらいかかるの?」
「ざっと二千年ってとこかしら」
「二千年……!」
長い時間である。が、フィンが声を上げたのはそのせいではない。今は創世暦から二〇一二年。すでに時は経過している。
「もっともそれって最近わかったことよ?」
「アーネスト」
「私たちは、監視者じゃないし向こうが今何年かなんて知るわけもないし……」
「アーネスト博士」
「残念ながらこっちにも詳細な暦は記載されてないのよ」
「アーネストってば!」
「なぁに?」
ようやく耳を貸す気になったのか、アーネストはもてあそんでいたカップを置いて
を見た。
「今、セレスタイトの暦は二〇一二年だよ」
「じゃあ問題ないかしら~」
動じなかった。
「つまり、そのアルディラスっていうので大晶石を砕いてしまえばアクアフォールの可能性はなくなるんだな?」
「そういうことかしらね」
ウェリタスで砕けたのだからアルディラスでも可能だろう。まして、セレスタイトの星の意思(イニシオ)の制御装置だ。さきほどのアーネストの話を逆に捉えれば、大晶石に蓄積されたエルブレスも損なわずに還元できると言うことになる。技術の進歩は停滞するかもしれないが、世界滅亡に比べれば微々たることだ。真剣だった仲間たちの顔が、見る間に明るくなった。
「けどね」
そこを止めるアーネストの発言。
「問題があるわ。まずひとつはアルディラスの使い手」
「使い手?」
「アルディラスは……ウェリタスもだけど適格者でないと使えないのよ~。だから適格者を探す必要があるわね。それからもうひとつは、アルディラスの保管場所」
そう、アルディラスを用いてアクアフォールを止めるなら、アルディラスをまずみつけなければならない。その行方を知っているらしいアーネストに視線が集まった。
「王都シグルスよ? どうやって取って来るつもりなのかしら~」
顔を見合わせる。いわば敵の本拠地だ。だが、迷うものはいなかった。
「アーネストの話だと、セレスタイトの星の意思(イニシオ)を止めるのもアルディラスなんでしょう? 適格者云々言ってる場合じゃないと思う」
「そうですね」
「手が回る前にこちらから行けば、まだ楽かもしれないわね」
うんうん、となぜか頷いているアーネスト。
「決定ね」
がたりと椅子を跳ね上げて立ち上がった。
「そうと決まれば早速……」
「?」
「検査よ、検査~」
まだ言うか。
ウィスは諦めたのか、アーネストに引きずられて医務室へ連れて行かれた。
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