**はじめに**
シャル日記は、TOD2連載開始時から拍手御礼で連動して進んでいたミニ話です。
拍手を10回すると格納庫にたどり着けるだとか、裏技めいたしまい方をしていたので、当時の常連さんでも見逃している方がいるかもしれません(笑)
しかし、そんなプチ話がいつの間にかものすごい人気だったので表にまで現れるようになった逸話のシャル日記。
ご要望にお応えして公開です。当初分は、数回分ずつまとめてまいります。 2022.3.23 10-wise
二人+一本旅1-4
< 二人+一本旅…その1>
相変わらず、自分たちの行方が行方知れずな今だった。
「迷子、って言うと、すんごい和まない?」
「和むと言うより間が抜けている」
意外に切り抜ける術に長けている。あるいは二人ともこだわりが薄いせいか別段困ったことはない。
欲を言えばベッドでゆっくり眠ってシャワーを浴びて。
それくらいはしたいだろうが水も気候も悪くないこの地方(どこ?)に投げ出されたことは幸いなのだろう。
『僕としては、悪くない光景ですけどねぇ…』
二人とも眠ってしまうと端正な顔立ちからいつもの隙の無さが消えて、あどけなささえ伺える。
シャルティエは一人、星空の下で密かに呟いた。
明日も、晴れるといいな。
<二人+一本旅…その2>
残念ながら、雨だった。
「雨が降ると涼しいけど、濡れると後で寒くなるよね」
「それがわかっているなら少し大人しくしていろ」
いくら森に避難しても、雨は木々の葉を伝ってやってくる。
見上げる顔にもぴちりと雫が落ちて弾いた。
「誰も騒いではいない」
「じっとしてろと言っているんだ」
不本意そうに、坊ちゃんは と寄り添って雨をしのいでいる。
はっきり言って、凌げるような生やさしい雨でないので後から風邪を引いてしまわないか不安だ。
なんと言っても、5m先が白い雨の膜で見えないくらいだから。
…夕立、ってやつだろう。きっともうすぐ止むと思うけど…
まさか僕がきのう「明日はれるといいな」っていったせいじゃないよね?
<二人+一本旅…その3(SIDE-LION)>
「あぁ、確かにお前は晴れ男と言うより雨男の素質がありそうだな」
『そ、そんな!酷いですよ!!坊ちゃん!!』
「そこで泣きそうな声を出している辺り、改めた方がいいと思う」
『この声は生まれつきだよ!』
「いや、だから声自体じゃなくて…」
寝る前だというのに騒がしい。
こんなことでよくソーディアンチームの一員としてやっていけたものだ。
リオンは眠りかけたところを邪魔され内心、怒りを抑えつつ目を閉じた。
「だったら明日は晴れるようにもう一度、願ってみたらどうだ?」
『それで雨、降っちゃったらどーするんですか!!』
「そんなこと僕の知ったことか」
全く、つきあいきれん。
<二人+一本旅…その4>
「この花ってそこら中に咲いてるけど有名なの?」
『え?』
「何だと…?」
「な、何?」
『その花はどこでも見られるよ。』
「名前なんて5歳の子供でも知っている」
「…知らないものは知らない」
「忘れている、ではなく知らない、か?」
「…記憶喪失で?」
「僕が訊いているんだ。…全く、この期に及んでとぼける気か」
坊ちゃんはもう彼女が記憶喪失でないだろうことに薄々確信を持っている。
だとすれば近々、バレる日が来るのか。
それともこのまま訊かず終いなのか。いつまで経っても、謎のまま。
