TOD2連載ノイシュタット「INTERVAL 3rd」前後対応。
─ノイシュタット~海上編─
掲載期間:2005.9.6~9.11 シャル日記20-23+ナンバーレス
掲載期間:2005.9.6~9.11 シャル日記20-23+ナンバーレス
シャル日記20 空の贈り物
雨も降っていないのに、水平な虹が空を横切っていた
「あれ、何だっけ。え~っと…彩雲じゃなくて…アーク…?」
「水平環アーク、だろう」
「リオンて物知りだよね」
「僕から言わせればお前の方がよほど余計なことを知っている」
「…」
それも二人で旅を始めてからは出ていないのだが。
むしろ物を知らないことがある。
例えば、花の名前、木の名前。
以前旅をした時はそんなものには目もくれなかったので気づきも付かなかったが、奇妙な矛盾に気が付いたのは最近だ。
かと思えば今のように、妙に専門用語的なものに反応したりする。
『僕、初めて見ましたよ』
「うん、滅多に見られない現象らしいから。私も初めてだよ。」
しかし、大抵。
そんなことはどうでもいい気分にしてくれる。
「これって空の贈り物とでも言うべき?」
「まったく、おめでたいな」
「運がいいことには変わりないよ。」
「リオン」
「何だ」
「なんで双剣?」
「別に。意味なんてない」
「…」
は鋭い。しかし、それにも増して坊ちゃん、その答えはどうだろう?
思わずそんなことを考えていると彼女はますます不信に思ったらしく顔をしかめた。
「意味がない訳ないでしょう。しかも利き手変えてるってどーいうこと!?」
今まで坊ちゃんは僕を左手で取り扱っていた。
双剣に切り替えてからは左手をガードに回している。
メインの中剣は右手に。
とりあわない様子でもなかったけれどあまり触れられたくないことだと、僕にはわかる。
マスターの気持ちの動きはソーディアンにも伝わるものだから。
「戦闘スタイルを変えることくらい珍しくないだろう。双剣なのだから利き手云々はあまり変わらない。…元々僕は右も使えるからな」
そういう理由をつかうなら、最初からそういえばいいのに。
「…本当?シャル」
『本当だよ。右利きではないけど。…ほら、坊ちゃんてば天才だから♪』
「あ、そう」
ちょっと呆れられてしまった。
まぁ普通に食事やら日常雑事は今まで通り左を使っているのだから…
そうそう気にされることでもないだろう。
と思って落着したつもりでいたのだが。
宿に戻り風呂から上がって、くつろいでいる坊ちゃんのところへ がやってきた。
「リオン、手貸して」
「?」
にこやかな様子に訝しげながらも差し出された彼女の手に、自らの手を伸ばした坊ちゃん。
はそっとその手をとると…次の瞬間自らそれを覆す勢いで、いきなりそでをめくり上げた。
「!何をする!」
「うるさーい!やましい事がないなら大人しく……!!」
抵抗したものの、先手を取られてあっけなく駆引きは終わってしまった。
ふいにおちた沈黙。
「やっぱり…腕、痛めてたんだ」
「気づいていたならわざわざ確認することもないだろう」
大げさな溜息と共に、坊ちゃんは袖を元に戻す。
そこにはあの洞窟でスタンに斬られた傷跡が生々しく残っていた。
あの、エルレインといったか。
…どうせ生き返らすならきちんと治してくれればよかったものを。
そんなことを言おうものなら怒られるだろうからずっと黙ってはいたけれど。
「痛むの?」
「少しな。そのうち元に戻るさ」
傷はふさがってはいたが時折ひきつれるのか、僕を握る力が落ちることはあった。
新しく双剣にしたのは、左で扱うだけでは不都合があったから。
つまり左手の短剣は不慣れな右の補助。もしかしたらいきなり片手剣で持ち手を切り替えたらあからさまに に悟られることも頭にあったのかもしれない。
「そんな顔をするな」
「だってリオン、黙ってるから…気づかなくて」
「…気づかれないようにしていたんだ、当然だろう」
でも、多分彼女にしてみれば些細な変化を見逃してしまっていたことを悔やんでいる。
彼女のせいではないのに申し訳なさそうな顔をしていた。
黙っていられることは気づかない理由にならないのだ。
「右もつかえるのは本当だ。不自由はない」
思いやられることに慣れていない坊ちゃんの方も、いつもどおりの口調ながら心中困っていることに気づく。
今更何だが、妙なところで不器用なのだからしょうがないマスターだ。
『それじゃあ早くよくなるように、リハビリでも手伝ってもらったらどうですか?』
「リハビリなんて大げさなことはしていないだろうが」
「あぁ、マッサージとか?」
「な…っ!」
思わず坊ちゃんは絶句したが次の瞬間、そっぽを向きつつ反論した。
「そんなものは自分でできる!必要ない」
「そんなことないよね?人にやってもらうのと自分でやるのは違うし…」
『そうですよぉ、坊ちゃん、人の親切は素直に受けるものですよ』
が珍しくひかない様子で言い聞かせているのでふざけている余地がない。
確かに利き手を変えるくらいなのだから、笑い事ではないのだ。
僕には何も出来ないから、そうしてもらえるとありがたい。
意固地に断るのはかえって心配させることになる。それに気付いたのだろう。
それから時々、不承不承といった様子ながら に腕を預ける坊ちゃんの姿があった。
その後。
あーーーーっ!!
坊ちゃんがマッサージしてもらいながら寝入ってるーーーー!!!!?
…め、珍しい…
一000年生きてきてこんなに驚いたのは初めてかも。
きっと、もうお目にかかれない光景だろうなぁ
一度やらかしたら、次は気をつけるだろうから。
そんなこと、気にしなくちゃいいのに
結構、どーでもいいところで要領が悪い。
坊ちゃんにしてみると「不覚」なんだろうから、
とりあえず、目を覚ましても触れないでそっとしておこう…
船の手配を済まし、再び宿に入って、就寝間際。
でも仮にも身に着けさせるものを送ったんだから、それを見て気恥ずかしいというのは本末転倒じゃないんだろうか?
いや、それ以前に
『何で は指にはめないでペンダントにしてるわけ?』
「指につけると邪魔だから」
「『…』」
あぁ、なんていうか…
ある意味二人とも、普通じゃないところでかみ合っているのかもしれない。
なんていうかね。
渡した方も無糖なら
受取った方も無糖っぽい
「あれ、何だっけ。え~っと…彩雲じゃなくて…アーク…?」
「水平環アーク、だろう」
「リオンて物知りだよね」
「僕から言わせればお前の方がよほど余計なことを知っている」
「…」
それも二人で旅を始めてからは出ていないのだが。
むしろ物を知らないことがある。
例えば、花の名前、木の名前。
以前旅をした時はそんなものには目もくれなかったので気づきも付かなかったが、奇妙な矛盾に気が付いたのは最近だ。
かと思えば今のように、妙に専門用語的なものに反応したりする。
『僕、初めて見ましたよ』
「うん、滅多に見られない現象らしいから。私も初めてだよ。」
しかし、大抵。
そんなことはどうでもいい気分にしてくれる。
「これって空の贈り物とでも言うべき?」
「まったく、おめでたいな」
「運がいいことには変わりないよ。」
シャル日記21 利き手の謎
「リオン」
「何だ」
「なんで双剣?」
「別に。意味なんてない」
「…」
は鋭い。しかし、それにも増して坊ちゃん、その答えはどうだろう?
思わずそんなことを考えていると彼女はますます不信に思ったらしく顔をしかめた。
「意味がない訳ないでしょう。しかも利き手変えてるってどーいうこと!?」
今まで坊ちゃんは僕を左手で取り扱っていた。
双剣に切り替えてからは左手をガードに回している。
メインの中剣は右手に。
とりあわない様子でもなかったけれどあまり触れられたくないことだと、僕にはわかる。
マスターの気持ちの動きはソーディアンにも伝わるものだから。
「戦闘スタイルを変えることくらい珍しくないだろう。双剣なのだから利き手云々はあまり変わらない。…元々僕は右も使えるからな」
そういう理由をつかうなら、最初からそういえばいいのに。
「…本当?シャル」
『本当だよ。右利きではないけど。…ほら、坊ちゃんてば天才だから♪』
「あ、そう」
ちょっと呆れられてしまった。
まぁ普通に食事やら日常雑事は今まで通り左を使っているのだから…
そうそう気にされることでもないだろう。
シャル日記22 消えない痛み
と思って落着したつもりでいたのだが。
宿に戻り風呂から上がって、くつろいでいる坊ちゃんのところへ がやってきた。
「リオン、手貸して」
「?」
にこやかな様子に訝しげながらも差し出された彼女の手に、自らの手を伸ばした坊ちゃん。
はそっとその手をとると…次の瞬間自らそれを覆す勢いで、いきなりそでをめくり上げた。
「!何をする!」
「うるさーい!やましい事がないなら大人しく……!!」
抵抗したものの、先手を取られてあっけなく駆引きは終わってしまった。
ふいにおちた沈黙。
「やっぱり…腕、痛めてたんだ」
「気づいていたならわざわざ確認することもないだろう」
大げさな溜息と共に、坊ちゃんは袖を元に戻す。
そこにはあの洞窟でスタンに斬られた傷跡が生々しく残っていた。
あの、エルレインといったか。
…どうせ生き返らすならきちんと治してくれればよかったものを。
そんなことを言おうものなら怒られるだろうからずっと黙ってはいたけれど。
「痛むの?」
「少しな。そのうち元に戻るさ」
傷はふさがってはいたが時折ひきつれるのか、僕を握る力が落ちることはあった。
新しく双剣にしたのは、左で扱うだけでは不都合があったから。
つまり左手の短剣は不慣れな右の補助。もしかしたらいきなり片手剣で持ち手を切り替えたらあからさまに に悟られることも頭にあったのかもしれない。
「そんな顔をするな」
「だってリオン、黙ってるから…気づかなくて」
「…気づかれないようにしていたんだ、当然だろう」
でも、多分彼女にしてみれば些細な変化を見逃してしまっていたことを悔やんでいる。
彼女のせいではないのに申し訳なさそうな顔をしていた。
黙っていられることは気づかない理由にならないのだ。
「右もつかえるのは本当だ。不自由はない」
思いやられることに慣れていない坊ちゃんの方も、いつもどおりの口調ながら心中困っていることに気づく。
今更何だが、妙なところで不器用なのだからしょうがないマスターだ。
『それじゃあ早くよくなるように、リハビリでも手伝ってもらったらどうですか?』
「リハビリなんて大げさなことはしていないだろうが」
「あぁ、マッサージとか?」
「な…っ!」
思わず坊ちゃんは絶句したが次の瞬間、そっぽを向きつつ反論した。
「そんなものは自分でできる!必要ない」
「そんなことないよね?人にやってもらうのと自分でやるのは違うし…」
『そうですよぉ、坊ちゃん、人の親切は素直に受けるものですよ』
が珍しくひかない様子で言い聞かせているのでふざけている余地がない。
確かに利き手を変えるくらいなのだから、笑い事ではないのだ。
僕には何も出来ないから、そうしてもらえるとありがたい。
意固地に断るのはかえって心配させることになる。それに気付いたのだろう。
それから時々、不承不承といった様子ながら に腕を預ける坊ちゃんの姿があった。
シャル日記ナンバーレス
その後。
あーーーーっ!!
坊ちゃんがマッサージしてもらいながら寝入ってるーーーー!!!!?
…め、珍しい…
一000年生きてきてこんなに驚いたのは初めてかも。
きっと、もうお目にかかれない光景だろうなぁ
一度やらかしたら、次は気をつけるだろうから。
そんなこと、気にしなくちゃいいのに
結構、どーでもいいところで要領が悪い。
坊ちゃんにしてみると「不覚」なんだろうから、
とりあえず、目を覚ましても触れないでそっとしておこう…
シャル日記ナンバーレス 記憶の行方
坊ちゃんは、視界の端をかすめた銀の光に顔を上げた。その視線の先には
がいて、坊ちゃんは何か違和感を覚えている様子。
彼女の首筋には細い銀のチェーンが揺れていた。
「…」
装飾品などつけない彼女が珍しい。
そう思って口を開きかけ───
その先に下がっているものが指輪だと気づいて閉口した。
『あれっ?それってもしかして──坊ちゃんが封筒に入れてた…』
そこまで言ったらすかさず叩かれた。なぜ僕が怒られなければいけないのかわからないが、それでベッドに入ろうとしていた は振り返った。
なんだか気まずそうな坊ちゃんの顔がある。
「何?」
「その指輪────つけてたのか」
「あぁ、これ?ずっと着けてたよ。気づかなかった?」
「気づくも何も、服の下に入れているだろうが」
「そういえばそうか」
それは坊ちゃんが、一8年前ダリルシェイドから神の眼を運び去る時に にあてた手紙と一緒に入れたエメラルドリングだった。
なぜこれかといえば、出立間際に殴り書いたその時にたまたま手元にあった実用的なものを放り入れたような感覚なわけだが…
『 …坊ちゃんは君がその指輪してなかったからずっと気にしてたんだよ』
「ウソをつくな# 今の今まで忘れていたぞ!」
「とりあえずシャルの言う方がウソっぽいけどリオン、それも酷いと思う」
ふと思いつきで言ってみた僕の発言と坊ちゃんの様子に、冷静な寸評を下す 。
でも、思い出していたら行方は気になったと思うけど。
「…とりあえず、これからまた使えそうだし返しておこうか?」
「いい。…お前の方が危なっかしいんだから つけてろ」
「じゃあ、ありがたく頂いておく」
なんでこの二人はこう合理的な会話を交わすんだろうね。
しかし、さり気に顔を逸らした坊ちゃんは、きっと身につけていてくれたことは嬉しいんだと思う。
そもそも普段外に出していないと言うことは、装飾が目的で身につけているのではなくて
大切にしているのだということだから。
彼女の首筋には細い銀のチェーンが揺れていた。
「…」
装飾品などつけない彼女が珍しい。
そう思って口を開きかけ───
その先に下がっているものが指輪だと気づいて閉口した。
『あれっ?それってもしかして──坊ちゃんが封筒に入れてた…』
そこまで言ったらすかさず叩かれた。なぜ僕が怒られなければいけないのかわからないが、それでベッドに入ろうとしていた は振り返った。
なんだか気まずそうな坊ちゃんの顔がある。
「何?」
「その指輪────つけてたのか」
「あぁ、これ?ずっと着けてたよ。気づかなかった?」
「気づくも何も、服の下に入れているだろうが」
「そういえばそうか」
それは坊ちゃんが、一8年前ダリルシェイドから神の眼を運び去る時に にあてた手紙と一緒に入れたエメラルドリングだった。
なぜこれかといえば、出立間際に殴り書いたその時にたまたま手元にあった実用的なものを放り入れたような感覚なわけだが…
『 …坊ちゃんは君がその指輪してなかったからずっと気にしてたんだよ』
「ウソをつくな# 今の今まで忘れていたぞ!」
「とりあえずシャルの言う方がウソっぽいけどリオン、それも酷いと思う」
ふと思いつきで言ってみた僕の発言と坊ちゃんの様子に、冷静な寸評を下す 。
でも、思い出していたら行方は気になったと思うけど。
「…とりあえず、これからまた使えそうだし返しておこうか?」
「いい。…お前の方が危なっかしいんだから つけてろ」
「じゃあ、ありがたく頂いておく」
なんでこの二人はこう合理的な会話を交わすんだろうね。
しかし、さり気に顔を逸らした坊ちゃんは、きっと身につけていてくれたことは嬉しいんだと思う。
そもそも普段外に出していないと言うことは、装飾が目的で身につけているのではなくて
大切にしているのだということだから。
シャル日記(ナンバーレス)** 無糖
でも仮にも身に着けさせるものを送ったんだから、それを見て気恥ずかしいというのは本末転倒じゃないんだろうか?
いや、それ以前に
『何で は指にはめないでペンダントにしてるわけ?』
「指につけると邪魔だから」
「『…』」
あぁ、なんていうか…
ある意味二人とも、普通じゃないところでかみ合っているのかもしれない。
なんていうかね。
渡した方も無糖なら
受取った方も無糖っぽい
