TOD2連載ノイシュタット「INTERVAL 3rd」前後対応。
─ノイシュタット~海上編─
掲載期間:2005.9.11~ シャル日記23-ナンバーレス
掲載期間:2005.9.11~ シャル日記23-ナンバーレス
シャル日記23 君たちの軌跡
「さて、ノイシュタットに着いたはいいものの…航路が変わっているな」
「アイグレッテとファンダリアかぁ…どっちもダリルシェイドまで遠いね。」
『どちらから行きます?』
「どちらでもいい。…お前が決めろ」
「私?じゃあ…チェリク」
「問題外だ」
「ちょっとした冗談じゃないか…」
結局、ダリルシェイド近海への直行便(運搬船)をみつけて乗せてもらうことになった。
思ったより早く目的地に着きそうだ。
なんだか残念な気もするけれど…
セインガルドまで運んでくれるのは小型の運搬船だった。
船の出るその時に、桟橋を通って船までかけられた細いタラップを渡る。
その直前に
「どうした?」
が何か躊躇した。
思わず坊ちゃんが振り返る。
数メートルの距離だ。
身軽な彼女なら手が必要な状況でもない。
しかし、彼女の視線は水中に落ちたまま動かなかった。
「 …?」
「あっ?え…ごめん。何でも」
呼ばれて硬直が解けたように後に続く。
船が港を離れる、その時には何でもない顔をしていたけれど…
ねぇ 今、何か変じゃなかった…?
「小型船ってさぁ…酔いやすいよね」
しかも運搬船だ。
客船ほど乗り心地もよくないし、今日は波が高いのかかなり揺れている。
「なんだ?酔ったのか?…弱いやつだな」
「酔ってないよ。──リオン、やっぱり飛行竜で酔ったのフェイクだったでしょ」
坊ちゃんが顔色ひとつ変えないのを見て は、何か以前の話を引っ張り出したようだった。
そしていらないことを思い出すなと怒られている。
『えっ?飛行竜?…何です、それ』
「あれ?シャルは知らないんだっけ。神の眼をダリルシェイドに搬送した時に───」
そう、その時は僕は機能休止用のディスクをつけたせいでダリルシェイドに戻るまで眠っていたんだっけ。
「余計なことは言わなくていい」
『なんです?気になるじゃないですか!!!』
「だから酔ってダウンしたんだよ。部屋から出てこられないくらいひどくて…」
「いいから黙れ!」
『坊ちゃんこそ。僕は と話してるんです!!』
「…なっ」
絶対聞く。
そんな勢いで思わず切れた僕の発言に珍しく坊ちゃんが一瞬絶句する気配が伝わった。
「…だから別にそれだけなんだけど」
『それだけ?』
「うん、それだけ」
なんだ。
別に何を期待していたってわけではないけれどなんとなく拍子抜けした。
『…坊ちゃん…何も無いなら煽り立てないで下さいよ…』
「どうして僕のせいになるんだ。大体煽ったつもりはこれっぽっちもない」
『必死に止めるってことは煽るようなものですよ!』
「だから僕のせいにするな」
ふん、と向こうを向いてしまった。
『それで、 が看病してくれたわけ?』
「いやぁ、それがスタンを凄い剣幕で追い出…」
「だからその話はやめろと言ってる!#」
やっぱり煽る坊ちゃんに、何も無いと言われつつも聞き甲斐はありそうだと思った。
それから夕方になると、ますます海は時化はじめたようだった。
三半規管が強いのか、二人とも顔色を変えない。
(僕だったら既にダウンしてたかも…ソーディアンで良かった…)
こんな小さな船でもそれなりに必要なものは揃っていて風呂が空いたと声をかけられ坊ちゃんの視線は に向いた。
「あ、私は今日はいいよ」
暗い空の下、とうとう雨粒が甲板をたたくのを聞いて は珍しく断った。
それから30分後。
『ど、どうしたんですか坊ちゃん!!』
ふらふらと坊ちゃんは部屋へ戻ってきた。
顔色を悪くして湯当たりでもしたのだろうか?
そのまま黙ってベッドに倒れこむのを が視線で追っている。
「リオン…湯船に浸かったの?」
「…」
「…海水風呂じゃなかった?」
『えっ?どういうこと?』
「客船とかじゃない船ってさぁ…海水を蒸気で沸かすらしいよ。長期航行だと水、貴重だしね。」
海水風呂。なんだか物凄い響きだ。
「真水だったぞ」
己のプライドの問題か、さすがに海水と知っていたら坊ちゃんもそう簡単には入るまい。
いや、問題はそこじゃなくて。
『じゃあ急にどうしたんです…?』
「…」
「シャル、これだけ揺れてる時に慣れない人がお湯に浸かったらどうなると思う?」
ちょっと考えてみる。
浮力もあるし、物凄い揺れるだろうね。
つまり坊ちゃんは、酔ったということか。
『坊ちゃん……………』
「うるさい…言うな……」
『で、でもこの揺れじゃ、普通の人なら既に酔ってますって!』
自分で言ってて何だけど慰めにもなっていない。
「さっきは人に弱いとか言ってたのに…」
「黙れ」
はすぐに濡れたタオルを持ってきてくれた。
船で酔うと逃げ場が無くて困るけれど、元々風呂のせいで酔ったなら横になっていれば少しはマシになるだろう。
親切なおじさんが様子を身に来てくれて、もうすぐ時化は収まるよと、教えてくれた。
…こんな時ばかりは素顔がどーのとか言っていられない。
シャル日記(ナンバーレス) ささいな矛盾
セインガルドまで運んでくれるのは小型の運搬船だった。
船の出るその時に、桟橋を通って船までかけられた細いタラップを渡る。
その直前に
「どうした?」
が何か躊躇した。
思わず坊ちゃんが振り返る。
数メートルの距離だ。
身軽な彼女なら手が必要な状況でもない。
しかし、彼女の視線は水中に落ちたまま動かなかった。
「 …?」
「あっ?え…ごめん。何でも」
呼ばれて硬直が解けたように後に続く。
船が港を離れる、その時には何でもない顔をしていたけれど…
ねぇ 今、何か変じゃなかった…?
シャル日記24 僕の知らなかったこと
「小型船ってさぁ…酔いやすいよね」
しかも運搬船だ。
客船ほど乗り心地もよくないし、今日は波が高いのかかなり揺れている。
「なんだ?酔ったのか?…弱いやつだな」
「酔ってないよ。──リオン、やっぱり飛行竜で酔ったのフェイクだったでしょ」
坊ちゃんが顔色ひとつ変えないのを見て は、何か以前の話を引っ張り出したようだった。
そしていらないことを思い出すなと怒られている。
『えっ?飛行竜?…何です、それ』
「あれ?シャルは知らないんだっけ。神の眼をダリルシェイドに搬送した時に───」
そう、その時は僕は機能休止用のディスクをつけたせいでダリルシェイドに戻るまで眠っていたんだっけ。
「余計なことは言わなくていい」
『なんです?気になるじゃないですか!!!』
「だから酔ってダウンしたんだよ。部屋から出てこられないくらいひどくて…」
「いいから黙れ!」
『坊ちゃんこそ。僕は と話してるんです!!』
「…なっ」
絶対聞く。
そんな勢いで思わず切れた僕の発言に珍しく坊ちゃんが一瞬絶句する気配が伝わった。
「…だから別にそれだけなんだけど」
『それだけ?』
「うん、それだけ」
なんだ。
別に何を期待していたってわけではないけれどなんとなく拍子抜けした。
『…坊ちゃん…何も無いなら煽り立てないで下さいよ…』
「どうして僕のせいになるんだ。大体煽ったつもりはこれっぽっちもない」
『必死に止めるってことは煽るようなものですよ!』
「だから僕のせいにするな」
ふん、と向こうを向いてしまった。
『それで、 が看病してくれたわけ?』
「いやぁ、それがスタンを凄い剣幕で追い出…」
「だからその話はやめろと言ってる!#」
やっぱり煽る坊ちゃんに、何も無いと言われつつも聞き甲斐はありそうだと思った。
シャル日記(ナンバーレス) 酔った。
それから夕方になると、ますます海は時化はじめたようだった。
三半規管が強いのか、二人とも顔色を変えない。
(僕だったら既にダウンしてたかも…ソーディアンで良かった…)
こんな小さな船でもそれなりに必要なものは揃っていて風呂が空いたと声をかけられ坊ちゃんの視線は に向いた。
「あ、私は今日はいいよ」
暗い空の下、とうとう雨粒が甲板をたたくのを聞いて は珍しく断った。
それから30分後。
『ど、どうしたんですか坊ちゃん!!』
ふらふらと坊ちゃんは部屋へ戻ってきた。
顔色を悪くして湯当たりでもしたのだろうか?
そのまま黙ってベッドに倒れこむのを が視線で追っている。
「リオン…湯船に浸かったの?」
「…」
「…海水風呂じゃなかった?」
『えっ?どういうこと?』
「客船とかじゃない船ってさぁ…海水を蒸気で沸かすらしいよ。長期航行だと水、貴重だしね。」
海水風呂。なんだか物凄い響きだ。
「真水だったぞ」
己のプライドの問題か、さすがに海水と知っていたら坊ちゃんもそう簡単には入るまい。
いや、問題はそこじゃなくて。
『じゃあ急にどうしたんです…?』
「…」
「シャル、これだけ揺れてる時に慣れない人がお湯に浸かったらどうなると思う?」
ちょっと考えてみる。
浮力もあるし、物凄い揺れるだろうね。
つまり坊ちゃんは、酔ったということか。
『坊ちゃん……………』
「うるさい…言うな……」
『で、でもこの揺れじゃ、普通の人なら既に酔ってますって!』
自分で言ってて何だけど慰めにもなっていない。
「さっきは人に弱いとか言ってたのに…」
「黙れ」
はすぐに濡れたタオルを持ってきてくれた。
船で酔うと逃げ場が無くて困るけれど、元々風呂のせいで酔ったなら横になっていれば少しはマシになるだろう。
親切なおじさんが様子を身に来てくれて、もうすぐ時化は収まるよと、教えてくれた。
…こんな時ばかりは素顔がどーのとか言っていられない。