ハロルド=ベルセリオス
神を欺く異端の知識に染まりし者
故に断罪
ナナリー=フレッチ
神の威光を否定する不信人者
故に断罪
リオン=マグナス
神の恩を忘れし裏切り者
故に断罪
ロニ=デュナミス
神への信仰を忘れた愚か者
故に断罪
カイル=デュナミス
神にあだなす危険なる者
故に断罪
異境の地より訪れしもの、神の腕(かいな)に抱かれず
──神の卵、審判の石版より
--OverTheWorld.52 神の卵 -
禍々しい凶星が現れたのは翌日のことだった。
カイルの顔は明らかに昨日までとは違う。
決したものの表情(かお)だった。
「ハロルド、イクシフォスラーの準備は」
「ばっちりよ、いつでもいけるわ」
「それじゃ、カイル…」
「行こう、みんな。神を倒すんだ!」
「そうか、よく決意したな」
最後の決断に、ジューダスは頬を緩めほんの一瞬であるが穏やかな笑みを浮かべた。
その視線が、誰ともなしに空に向かう。
空に留まる凶星。
禍禍しい暗紫の光をまるで漂う水面のように纏うその奥に彗星の無骨な核が覗いている。
すでにそれが肉眼で見えるということは接触間近であることを意味している。
が、文字通りエルレインは「召還」したらしい。それは動いている気配がない。
それも幸いだ。
降られてきては大気圏に突入された時点で大きな異変となって災いは星に降り注ぐだろう。
宇宙空間にあっては乗り込む手段は彼らにはない。
成層圏を遥かに超えた彼方…イクシフォスラーで突破できるギリギリの場所にそれはあった。
審判の時刻を待つように…虚空に不気味な息吹を繰り返しながら。
どこまでも聖地にこだわるのか現れたのはカルバレイスの上空だ。
外気圏に程近いその場所は、空の色も失われて久しい場所だった。
しかし当然神の卵に突入してしまえば外など確認する手段はない。
今まで訪れたどの場所よりも遠い場所へきたことすら自覚もないまま彼らは星の核を目指すことになった。
「彗星と言う殻の中で神を孵化させる…か
なるほど、まさしく神の卵だな」
「…なんなんだろうな、この建物は」
神の卵は多重構造になっているらしく入ってすぐの場所は水晶のような自然岩の道が交差する構造だった。
もしかしたらそれらにもカルビオラにあったレンズが使われているのかもしれない。
その手前にはまるで神殿のような建物。
神の使いを模したものか、翼のある女性の像を見上げながら外に踏み出せばそこから遥か下方に、渦巻く風に巻かれるようにして黒い核が虚空に浮かんでい
るのが見える。
まるで強烈なエネルギーを掻き抱くように全てがそこへ集う如く放射状に収束する様は、かつての神の眼を髣髴させた。
青い結晶の道はうねるように螺旋を描き、あるいは交差しながらそこへ続いているのだ。
目指す場所は言葉にせずとも理解できる。
「十中八九目的地はあそこだな」
「あそこまで…いけるのか?」
「大丈夫。きっと…たどり着けるわ」
そうして胸元に持っていかれた指先に、いつもは握られるペンダントはない。
リアラは自身の分身ともいえるレンズを願いと共に彼方へと放っていた。
それでも彼女の力が落ちないのは、彼女自身に宿る強さかそれともいずこかにある本体が近いせいか…
胎動するような風のうなりがいやというほど耳についた。
そしてそれが遠のいたかと思えば更に不可解な場所に出る。
「行き止まりみたいだね。それにしても何だいここは?壁には鏡。床には変な文様」
ナナリーが孤を描くように天井へ、床へ視線を廻らせて呟く。
まるで、鉱物の洞窟だ。
水晶のような巨大な結晶柱が空間を作り上げている。
鋭利に突出した鉱石は、白濁したアメジストのようにミルク色を帯び、特有の微光を放っていた。
いや、光を放っているのはその奥にある鏡か。
その光がゆるやかに蓄えられて、空間全体がほの明るく照らされている。
こんなときでなければ神秘的で美しい場所だろう。
は足元に刻まれた文様を覗き込む。
文様のベースになっている床もまた磨き上げられた鏡のようで顔が映りこんだ。
「デリスエンブレム…?」
「?」
記憶にある名前が零れ落ち、首を捻る足元にハロルドがしゃがみこむ。
一通り叩いたり撫でたりと眺めながらハロルドは頷いた。
「そのようね。歪められた時空と、時間を正す魔法の紋章」
「こっちの鏡はなんだろうな。見たところ、普通の鏡臭いが…」
「ロニ、近づいちゃ駄目!」
嫌な予感にかられて叫んだその時、鏡には少年の姿が映し出された。
年は12,3歳といったところだろうか。
短い銀の髪に青い瞳。
幼い面影は確かに鏡の前に立つ、ロニ=デュナミスのものだった。
「おわっ!これ、ただの鏡じゃねぇぞ!」
「この鏡は、人の肉体ではなく精神を映しているんだわ」
「精神を映す?」
「前にエルレインに夢を見せられたことがあったでしょう?あれと同じよ」
飛びのいたロニに代わってリアラが鏡を覗き込む。映っている姿は今のままだ。
断定する口ぶりは思い出す、というより本でも読むようにどこかからかリアルタイムに知識を引き出して語っているようだった。
「この鏡の中にはみんなの記憶をかたどった世界が広がっている」
「記憶を象った世界か。ふん、どこまで歪められていることやら」
「この先にエルレインが居るのなら、先に進むだけさ。いこう、みんな」
もはやどんな罠が待っていても力づくで進む気迫でカイルはまっすぐに鏡へと向かう。
怖気づく者もなく、全員がそれに続いた。
「…やはり罠、か…」
わずかな光の壁を抜けた先…鏡の中は、建物だった。
まるで古城。
苔むしていていつからここにあるのかわからない、作られたばかりの「神の卵」としては矛盾を描いたようなものだった。
最もここが記憶だとか精神の中ならば実際にはない光景であるのかもしれない。
夜に沈むように、ほの明るい文様が足元にグラデーションを描き出している。
建物で言うならばここは屋上のような場所であるらしく、気付けば深淵に立っている。
ジューダスの呟きは沈黙の空間に吸い込まれるようにして消えた。
いままで傍らにあった多くの息吹が消えている。
途端に温度の下がったような錯覚。
先に踏み入れ、正面にそそり立つ階段を中央に抱く建物を見上げていた
が振り返った。
そこにいるのはジューダスと
だけだ。
「全員バラバラにされた、かな」
「しかし気配はある。おかしなことにな」
音も、姿も消えている。それなのに、周りに「居る」ことを彼は感じ取っているようだった。
仮面の奥で視線を左の方に流してじっとなにかを伺うようにする。
「…歪められた時空を修復する、か…ひょっとしたらみんな、同じ場所だけど違う次元──平行している場所にいるのかもね」
デリスエンブレム…
の発言に視線を上げたジューダスの唇が声もなく小さく動く。
細められた深い色の瞳はひらりとマントの裾を翻して移動した
の姿を追った。
幅広の階段を上って更に高い位置にあるバルコニーに出る。
といっても、周りはまるで削り取られた地底そのものであるから景色がいいとも思えない。
その先には、5本に分かたれた道があって、不思議と分岐を前に全員が集っているような気配を感じた。
もしかしたらそれぞれが同じ光景を目にしているのかもしれない。
の視線は一望するように通路と、今来た階下とをめぐりその先に何かを捕らえた。
ジューダスももう一度振り返るとそこに、ゆうに大人の背丈を越える石碑をみつける。
それは、先ほどの場所からは死角になるバルコニーの外際に立っていた。
「なんだろう…戻ってみる?」
気になったのかそう言う
にジューダスは小さくかぶりを振るようにしてその場を離れた。
ここが記憶でできているのなら自分も知っていることであるだろうし、そうでなければエルレインによって作られたものだ。
見る必要はない。
同時に集っていた気配が散りはじめた。
もうすうす感じている。
例えれば、それは影だけが近くをうろついているようなものだろう。
それがそれぞれ、なぜだか違う道へと消えていった。
道は行く筋もあるのに、そこへ行くことが必然であるようにジューダスもまた迷わずあるひとつの通路へと入る。
「ジューダス」
「わからんが、ここへ行く他はない気がする」
強く惹かれるものがあるのだろう。その歩みは迷いない。
そうして出たのが、円形のホールだった。
「ここは…」
足元は磨かれたレンズのようにその上に立つものを映し出し、そしてずっと下方も空中に立つように透けて見せている。
柱は四方を支えるだけで壁はなかった。
正確には岩壁であるのだが、それは淡く明滅を繰り返し見覚えのある場所を映し出していた。
セインガルド北の、海底洞窟…
「どこまでも、つきまとう記憶だな」
苦笑と共に正面へ視線を戻したジューダスの瞳がそこで大きく見開かれた。
そこには、スタンの姿があったのだから。
「リオン…」
剣を迷うように携えたスタン。
瞳が泳ぐようにジューダスを見て名前を呼んだ。
「これは…どういうことだ」
驚いているのはジューダスばかりではない。
状況が理解できず
は黙って首をふるしかない。
しかし、その奥に光る欠片をみつけ
は小さく声を上げた。
「ジューダス、あれ」
「?」
「デリスエンブレムの欠片…かも」
欠片は中央の壁の台座に、浮くようにしてゆるやかに回転している。
その手前に、スタン。
これがどういう状況なのかは、言うまでもなく理解できた。
彼はおそらく、その奥に踏み込まなければならない。
するべきことがみつかるとジューダスは
をその場に残してゆっくりと歩を進ませた。
剣は抜いていない。
カツリ、と硬質の床が靴音を固く響かせた。
「リオン、どういうつもりだ!」
「!」
その一言で、更にそれが「あの時」の再現であるとジューダスは理解する。
何よりも、ここにいるスタンの脈絡のない発言が事態を物語っていた。
しかし、どうすべきかはわからなくなる。
映像のように、ただの記憶の再現のようなものなら放って置けばよい。けれど、そうはいかないだろう。
彼は迷ったが、剣の柄へ手をかけスタンに一歩近づいた。
「スタン、どいてくれ」
「やめるんだ、リオン!」
かみ合わない。
あくまでスタンは繰り返される記憶でしかない。
しかし、記憶の中とは異なり彼は口調とは裏腹にみずから剣を振り上げるとジューダスに斬りかかってきた。
とっさに剣を引き抜いて受け流すとそのまま後ろに大きく一歩退く。
スタンはそこから動こうとはしなかった。
「ジューダス!」
心配そうな、
の声。
これは歪められた記憶なのだ。
どうするべきか、ジューダスは考え…剣を無造作に放り捨てた。
カラカラ、と乾いた音を立てわずかに床を滑って止まる。スタンの足元に。
わずかに動揺するような背後からの気配には僅かに振り返るようにして応え、ジューダスはスタンに向けてはっきりと告げた。
「僕は二度、お前に剣を向けるつもりはない」
エルレインの見せた悪夢とは違う、繰り返されはしなかった。
軽いがしっかりとした動きでジューダスは再び台座に向かって歩む。
迷いのない足取り。
彼がスタンの姿を通り抜け台座の前に立ったその時、幻は全て消え去っていた。
残るのは、むき出しの岩壁の小さなホール。
そして、小さな、光の欠片。
白い手がそっと包むようにして欠片をすくい取る。
それはゆがめられた時間と空間を正すもの。
真なる姿を求める者のため、あらゆる世界、あらゆる場所に現れるデリスエンブレムの欠片。
そして、空間を超えデリスエンブレムの欠片がそろったその時…
強力な輝きとともに変化は起こった。
ゴウッと音を上げて巻き上がる風にかばうようにして腕をかざすが視界が強烈な光で塗りつぶされる。
風が収まると
「!」
そこは青の広間だった。
深い青の水晶で彩られた空間。天井はそのまま暗闇に沈んでしまい伺えない。けっして明るい場所ではなくまるでただ沈黙に包まれた空間だった。
その中央…目の前には天をつくようにして巨大なクリスタルのオブジェがそそり立っている。
クリスタル?
いや、違う。
レンズだ。
神の眼をも超える、しかしエネルギーは自ら放つことのない、ただ純粋なレンズの塊。
いつしか、集った仲間の全員がそれを同じようにして暗闇の中で見上げていた。
「これは…」
「あなたの、砕かなければならないもの…よ」
まるで唐突に放り出されたかのような空間に、かつん、と小さくリアラの靴音が響く。
「フォルトゥナの本体…?」
わずかに明るい中央に進み出て見上げる。
その台座には脈打つようにレンズの燐光が溢れ、流れるように神のレンズへと昇っていた。
祈りを形にする、これこそが神の卵の本体でもある。
不思議な気分だ。
カイルは何事かをリアラに声かけようとして口を開けたが言葉が放たれることはなかった。
それよりも。
「いるのでしょう?フォルトゥナ」
「本当に神を殺しに、来たのか」
リアラがいつか、カルビオラでそうしたように毅然と呼びかけると現れたのはエルレインだった。
その顔には、もうひとりの自分とも言えるリアラの決断に理解のしがたい苦渋と、悩ましさが覗いている。
けれど以前のように憐憫は欠片ほどもない。
彼女の表情がもはや救いようがない、という意味であることは誰もが理解していた。
つまり戦うしかないのであることを。
緊張が走り仲間たちがいっせいに武器を手に取った。
「出来るのか?お前たちに」
「見くびるんじゃないよ!決まってるだろ、戦うためにここへ来たんだからね。あたしたち自身の意志で!」
ナナリーが吼えた。
「それがどのような結果をもたらすのかわかっているというのに?」
「覚悟は……できている」
カイルが強い瞳で見据える。
「エルレイン……わたしたちは人々の救済という同じ使命を背負った存在……けれど、彼らと過ごした日々の中でわたしは知ったの。人は救いなど必要とし
ないということを」
リアラは諭すように自らの半身に向けて語り掛けた。それは以前とはまったく真逆の構図であるようにも思える。
道を見出した者の確固とした意志がそこにはあった。
「はるか先にある幸せを信じて、苦しみや悲しみを乗り越えてゆける強さを持っているということを」
「お前は何もわかっていない…人はもろく、はかない存在。自らの手で苦しみを生み出しながらそれを消すことすら出来ない」
もはや惑わされることはない。
誰もが静かな、だが、怒りのような感情を抱いてその声を聞いていた。
「だからこそ人は神によって守られ、神によって生かされ、そして、神によって救われるべきなのだ」
「ヘッ、冗談じゃねえ!俺たちが欲しいのはまやかしの幸せじゃない! たとえ小さくても本物が欲しいんだ!」
「なにが幸せで、なにが不幸せかそれを決めんのは私たちでしょ! 神さまなんかお呼びじゃないっての!」
「たしかに生きることは苦しいさ。でも、だからこそその中に幸せを見つけることができるんだ!」
「幸せとはだれかに与えられるものではない! 自らの手でつかんでこそ価値がある」
「神の救いこそが真の救い。それがわからぬとは……」
口々に降る人自身の声を聞きながらエルレインはかぶりを振った。
「神はもうすぐ降臨する。完全な形で完全な救いを人々にもたらす……それを邪魔するというのなら……私の手でおまえたちを神の元へと還してやろう。そ
れが、私がおまえたちに与えられる唯一の救い…」
「人によって生かされていたのは、エルレイン…貴女の方だよ。それがわからないのなら、人の中へ還るべきだ」
必ずしも彼女の考えは間違いでなかった。
だが、妄執は己以外の道を認めず、やり方を誤った。
まるでプログラムされた機械のように、彼女は何度でも繰り返すだろう。絶対の神に敬謙なるしもべは、盲目でしかない。
の凛とした、だが静かな声は水を打ったように刹那静まり返った青の間に染み入るように響いた。
「オレもみんなと同じ気持ちだ。だから、ここまで来られたんだ!オレたちは、神の救いなんか必要としていない!もう迷ったりはしない!」
そしてカイルは宣言する。
「オレたちの手で必ず、神を倒す!」
「…全ては終わる。神の降臨の礎となるがいい」
最後の決裂の瞬間だった。エルレインの手の内に光の槍が現れる。
大きく振りかぶると風が巻き起こり空を割いた。
「くっ…らえ!クリティカルブレード!!」
ロニが盾になるように前に出てそのまま奥義を放つ。その後ろから影のように走り出たジューダスが双剣を交差させるようにして光の槍を押え込んだ。
眼前に迫った少年の姿にエルレインは忌々しそうに吐き出した。
「…奇跡は…二度は起こらぬぞ」
「お前から押し付けられた奇跡など、奇跡などとは思っていない。それが必要であるのなら、僕らの手で起こしてみせる!」
エルレインは見かけに反した凄まじい力で押してきたがそれをなぎ払うように退けて反動でジューダスは後退した。
「闇の炎に抱かれて消えろっ!浄破、滅焼闇!!」
着地と共に放たれた闇色の炎がエルレインを包み、交替にカイルが斬りかかる。
退路を
とナナリーの晶術が塞がれエルレインはよろめくようにした直後、肩から剣を受けて潰れた悲鳴を上げて大きくのけぞった。
その傷痕から零れ落ちる光の粒子。
それは彼女の体は血肉ではなく、ここで神霊体のような存在となっていることを示していた。
文字どおり、消えても再構築されるものの身体なのだろう。
その顔に怒りのような色を貼り付けながらエルレインが前方に手を突き出すと、トリニティスパークの雷光が辺りを強烈な明度で染め上げカイルを吹き飛ば
す。
「カイル!」
すかさず待ち構えていたリアラの晶術が彼を即座に回復させた。
「思い通りにいかなくなったから壊すなんて…子どもじみたことしてんじゃないわよ!」
ハロルドの放ったディヴァインセイバーが轟音とともに降り注ぐように光の檻を作り上げた。
「人は神には勝てないのだ」
しかし、それはふいに消え失せる。
消失、というよりは吸収だった。
「ハロルド!」
次の瞬間
「インディグネイト・ジャッジメント」
冷淡な声と共に降る神の雷。
とハロルドはインブレイスエンドを即座に詠唱し、その間に巨大な氷の防護壁として切り替える。
気休めのようなものだ。
当然、耐えられず、砕け散った破片は鋭く降り注ぎ皮膚を掠めた。
だが、直撃は免れた。エルレインの細められた瞳は彼女の思惑を超えたことを証明していた。
「あたしたちの相手はあんたじゃないんだよ!おとなしく消えな!」
「!」
破裂するように宙に舞っていた氷の欠片は遅れて粒子のように散り注ぎ、煌く壁の向こうからナナリーの矢がエルレインの体を貫いた。
1本、2本…乾いた音を立てて床に矢尻がぶつかると同時──
「これで終りだ!奥義!翔王、絶憐衝!!」
「神を超えるというのか……」
カイルの繰り出した剣技は切り裂く風となりエルレインを体ごと青水晶の壁に叩きつける。
その口から驚愕の呟きが漏れその瞳が虚ろに中央の「神の依代」を振り仰いだ。
「私……は…………人々を……救う……ため……
神の……ち……から……だけが……そ…を……可能にす………」
聖女エルレインは光となって砕け散り、残光は蛍火のように やがて薄闇に溶けて消えた…
