41.異界の門
アルテスタの家に辿り着くと、待つほどもなく彼はタバサに案内されて部屋におのおの居場所を見つけるロイドたちに告白を始めた。
アルテスタの家は崖をくりぬいた中にある。
窓などなく、いかにもドワーフといった頑健質素な家であるが温度も安定していて慣れれば居心地は悪くなさそうだった。
「わしはクルシスに所属する要の紋の細工師だった」
「あんたも天使の…ユグドラシルの仲間なのか!」
「ユグドラシル様を知っているのか?」
「何がユグドラシル様だ!ふざけるな」
ロイドが感情的になって叫ぶ。それをリフィルとコレットがなだめ、ようやく落ち着いた。
言いたい事はまだあるのだろう。
その視線は敵意のようなものをはらんでいるがそれでもなんとか押しとどまる。
と、アルテスタはコレットの首筋に光るものをみつけ身を乗り出した。
「それはクルシスの輝石…そうか、おまえさんたちは衰退世界の神子たちか」
これも運命のめぐり合わせかのう、とアルテスタは感慨深げにあるいは皮肉げに?深い息をついてせもたれのない丸太をそのまま利用した椅子に腰を落ち着けた。
「オゼットがあんなことになったのはわしのせいなんじゃ」
「どういうこと…ですか」
今度はプレセアが前に出る。ひどい扱いを受けていたと知っても彼女にとっては故郷である。
記憶と感情を取り戻したばかりのプレセアには酷な出来事だった。
「わしは間接的にでも人の命を奪うような自分の仕事がいやになってな。
クルシスから逃げ出してオゼットに身を寄せたのじゃ。
しかしロディルというディザイアンに捕まって命と引き換えにクルシスの輝石製造を命じられた」
すると合点がいかなくなる。
プレセアの研究は教皇に命じられてケイトが行っていたものだ。
自然につながってはいけない部分が繋がってしまうことになる。
それにはゼロスも気づいたようで、彼は方目だけ眇めるようにして眉を寄せた。
「するとなんだ、プレセアちゃんの研究は、ロディルと教皇が手を組んであんたやケイトにやらせていたってことか?」
「そうじゃ、ロディルはクルシスの尖兵たるディザイアンでありながらクルシスへの反逆を目論んでおるのじゃ」
すると今度は繋がっていたはずの部分が途切れてしまう。
ロディルはクルシスに反目している…?
「それにわしが加担したから…だからユグドラシル様がお怒りになってオゼットを、わしを助けたオゼットを滅ぼしたんじゃ!」
アルテスタはじっとうつむいて膝の上で握り締めていた手を更に強くにぎりしめて叫ぶように告白する。
刹那、涙のない慟哭に沈黙が部屋を支配した。
ぽつり、と口火を切ったのはリーガル。それは独り言のようだった。
「それでプレセアが…私の遠い思い出を映すこの少女が巻き込まれたというのか。あまりにもやるせない」
「すまん…あやまってもあやまりきれんが、わしにはそうするしかない」
ようやく恐れから開放されたようにアルテスタはプレセアをみつめる。
だが、彼女は首を振っただけだった。
「私の時間は戻ってきません。村の人もパパも生き返らない」
「すまん…」
「謝らないでください。謝られても今の私には許すことができないから」
沈黙にいたたまれなくなったのか、アルテスタは黙って奥の工房へといってしまった。
タバサが心配そうに見送る。それから胸の前で手を組んでプレセアに向き直った。
「プレセアサん、あなたが失ってシまったものは大きいと思います。
でもどうかあなた自身まで失わないで下サい」
カタコトのイントネーションにしては感情豊かな言葉だと思った。
タバサに欠落しているものはなんなのだろう。
大きく瞬いたその萌黄色の瞳は憂いを秘めてじっとプレセアを見つめ続けていた。
「ぼく少しだけプレセアさんの気持ちがわかります」
ふいに声を上げたのはミトスだった。
その発言をすること自体勇気の要ったことだろう。それでも少年は一歩踏み出してそれからやるせなさそうに視線を落とした。
「どうしたって戻ってこないものはある、
それを謝られても、許してあげたくても自分ではどうにもならないんです」
「許されないこと。それが罰なのかも知れぬ」
そうだろうか。
罪もそうであるように罰は人によって異なるはずだ。
は無意識にジューダスと視線を交し合う。
「俺は違うと思う。許すとか許さないとかそういうのは罰ではないよ。
うまくいえないけど…」
「まぁまぁそんな哲学っぽい話は置いておこうや。
プレセアちゃんも無理に許してやる必要はねーし、俺さまたちも前向きに物事ってのを考えようぜぇ」
どこまでも真剣味の続かない男だ。
ゼロスは飽き飽きとばかりにはぁ、と息をついた。
「そうね。私はこの際アルテスタからクルシスの話を徹底的に聞くべきだと思うわ。
私たちには情報が不足している。そうでしょう?」
リフィルが頬にかかった髪を払いながら提案する。
黙ってうなずくとロイドたちは工房へと移動した。
といってもそれほど広い洞穴ではない。
すべて聞こえていただろう。
アルテスタは観念したように全員が集まるのを待って訥々と話し始めた。
「クルシスはほとんどがハーフエルフで構成された組織じゃ。わし以外のドワーフも大勢関わっておる」
「オヤジとアルテスタさん以外にもドワーフがいたんだな」
ロイドが本当にどうでもいいことを言ってくれた。
「彼らの目的はハーフエルフの千年王国設立とマーテル様の復活だ。
そのためにマーテル教を利用して神子をマーテル様の意識と融合させようとしている」
一度区切りをつけるとアルテスタは背もたれのない椅子の上で体を回してこちらに向き合う。
「そもそもマーテル様っていうのは何なんですか」
それは天使にも神にもほだされない
だからいえる疑問。
だが、アルテスタは首をふっただけだった。
彼らにとって、この世界中の誰にとってもマーテルは「女神マーテル様」でしかないのだ。
疑問を抱いていてもそれを解き明かすチャンスは少ない。
問題が早速行き詰ったかと思いきや、ジーニアスが他の疑問を抱いたらしい。
「でもだったらどうしてディザイアンは神子の命を狙ったりするの?」
これに関しては答えは難しくはなかった。
「エクスフィアやクルシスの輝石は人の恐怖や悲しみ、そして闘争本能に刺激されて目覚めるのじゃ。
だからディザイアンは衰退世界を荒らす。天使化促進のため神子を危機に陥れる。
しかし神子の命までは奪わぬはずじゃ。
ロディルのようにクルシスを裏切ったディザイアンかあるいはレネゲードの連中じゃろう」
概ね今までの情報からまとめられる返答だ。
ただロディルの裏切りについてだけは新たな問題としてとらえる必要があるだろう。
あの男は、
たちがこの世界に来る前から暗躍しているようだから。
「ロディル…か。奴は何をたくらんでいるのだ」
「魔導砲の復活じゃよ。奴はどこからか魔導砲の図面を入手してシルヴァラントに建設しているようじゃ」
「魔導砲!?」
意外な言葉に意外なほど反応してしまった
に注目が集まる。
魔導砲については古のトールハンマーとしてリフィルたちの知識はあった。
ピエトロもそんな話をしていたのでここで驚くことはないのだがどうしてか改めてはっきりと何かが見えた気がした。
「
、何か知ってるの?」
「いや、魔導砲って…確か大量のマナを消費するんじゃなかったっけ?」
「そうなの?」
「魔導砲については古の大戦で用いられたという程度にしか伝わっていないわ。でも、用途を考えればそうなるのでしょうね」
「このマナの枯渇しそうな世界でそんなもの使ったら…」
どうなるのか。
想像にはたやすかった。
ふたつの世界の万物がマナからできているのだとすればそれこそ世界は滅びるだろう。
しかし、魔導砲の正体を知らないロイドたちにはその危機感は伝わっていないようだった。
「奴は牧場の主でもあるからな。
収容されている者はみなその建設に借り出されておるのだろう
あれが完成したとき奴は自分の帝国でも作るつもりなのじゃろうか」
「そんなことのためにみんなを苦しめるなんて…」
行き着く先がせいぜいはそこだ。
しかし今は憶測でしか話すほかはない。
「なぁ、じゃあユグドラシルが二つの世界作ったってのは本当かい?」
これはテセアラベース滞在中に
がユアンから聞いた話である。
このいびつな世界の天秤を作ったのはユグドラシルに他ならない、と。
「さて、そのように聞いているな。けして交じり合わぬ二つの世界を4つのマナの楔で結び、その中心に大いなる実りをおいて護っているのだとか」
「大いなる実り?どこかで聞いたような…」
「ミトスの英雄譚に出てくるでしょ」
それはもう何度も見たような気がするが、ロイドにとっては些細なことだったらしい。
「そう、古代戦争終結後、聖地カーラーンで死んだミトスの魂をそう呼ぶとか」
そうだったっけ?
下手に知識があるだけに
の中でも混乱している模様。
「ちょっと待って。たしかにそうだけどどうしてこっちにもシルヴァラントと同じミトスの伝説が残ってるの?
前から気になってたんだ。聖地カーラーンも救いの塔も二つあってミトスの伝説まで一緒なんて」
何を今更言っているのだろう。それとも一人先走りすぎたろうか。
いままで誰ともなしに話すでもなかった問題がようやく浮き彫りになろうとしていた。
「二つの世界は二極から行き来できるそうじゃ。
その二極というのがどこかは知らんがミトスという人はそれを利用して二つの世界を行き来したのではないか?」
「二極…そうだったのね」
「先生?どうしたのよ」
「これは仮説よ。古代対戦とはテセアラとシルヴァラントの争いではなかったのかしら。
そしてそれを勇者ミトスが停戦させたの」
「だから二つの世界にミトスの伝説が残っているのか」
少し違う。
は違和感を覚える。
確かに争いをしていたという二国についてはその通りなのだろう。
けれどだとしたら世界ははじめからふたつで「ユグドラシルによって二つに分けられる」ことはないはずだ。
ユグドラシルの存在がミトスのそれより前であれば納得も行くが、すると何だかわからない。すべてのものがずれていく気がする。
あくまでこの世界を「二つに分けた」のはユグドラシルなのだ。
それを念頭に考えると…
「えぇ。そして二極のひとつは聖地カーラーンだとすれば聖地が二つある意味もわかるわ」
それには反論はない。
こちらの世界に「塔」が見えていた時点で重なり合うふたつの世界の「同位置」だというのは容易に想像できることだった。
一方が消えてしまってもそこに「在る」、世界の中心であり異界の扉でもある。
「なるほど」
リーガルがうなずいた。
「二極についてはさまざまな意見を聞いたが、あなたの意見が一番輝いているように見える」
「他にはどんな言い伝えがあったのかしら」
「異界の扉…という伝説がアルタミラに伝わっている。
そこが二極だとするものもいるようだ」
「異界の扉…」
「何かいっぺんに色々聞いて俺の頭じゃもう何がなんだか…」
何やら考え込むリフィルの隣でロイドが頭を振った。
振ったところでさっぱりはすまい。
「今日は疲れたじゃろう。よかったら泊まっていきなされ」
幸いアルテスタの家に泊まれることになったようだ。
さすがにベッドの数は足りないが、全員が休むには十分な広さの洞穴だった。
「ミトス…じゃったか?お前さんも行くところがないならしばらくわしのところにおるがいい」
「いいんですか?ボクハーフエルフなのに」
「ミトスは卑下しすぎだなぁことあるごとにハーフエルフって…」
「しかたないっしょ、何度も言うけどテセアラは差別階級が徹底してるのよ」
「してたって、自分まで卑下しちゃ駄目でしょ」
どうにもならないならなおさらはまりこまないのが良い。
けれど彼がここにいたるまでどんな目にあっていたのかは知らないのだから無責任なこともいえないだろう。
まるで怯えた小動物のようにおどおどとしている少年を前にはそれ以上は黙っていることにした。
「ここに住んでいるのはドワーフのわしとわしの作ったタバサだけじゃ」
「アルテスタさんが作った?」
「うむ。タバサは自動人形じゃ。じゃからハーフエルフがいても問題なかろう」
「タバサさんがお人形だったなんて…」
困惑と驚きの混じったまなざしでタバサを見つめるコレット。
にこりと微笑む様はとても人形には見えなかった。
異変が起こったのはその夜だった。
いよいよ闇が深くなってきた頃。もう皆、休んでいただろうその時間にジーニアスが転がるように部屋へやってきた。
「姉さんが調べたいことがあるからって書置きを残して出ていっちゃったみたいなんだ」
「私、先ほどレアバードが南へ飛び立っていくのを見ました。
あれがリフィルさんだったのでは?」
二人暮しにしては大きな食堂のテーブルの前に集った一同。
ロイドだけがまだ来ていないのでコレットが起こしに行った。
「南…アルタミラの方角か」
「そういえば異界の扉がどうとかって…あの時ちょっと変だった、かな」
顔を見合わせれば、次の目的地が自然と定まった。
目指すは極と呼ばれる異界の門だ。
月が青い晩だった。
異界に門は上空からでもすぐにわかった。
巨石が空に向かってそびえている。
数こそ3本だが、とりまく小さな岩々もあわせてまるでストーンヘンジのような配置になっていた。
レアバードから降りてみるとそれがいかに巨大化がわかる。
一体誰がどんな目的で設置したのかわからない。
それくらいそこにあるのは強大な3本の柱だった。
「先生!」
その中央で見上げていたリフィルにロイドが声をかけて駆け寄る。
文様の描かれた、それでも自然石のようなそれはそばによると物凄い圧迫感だ。
よくみれば周りの違和にも見慣れない文様が描かれていた。
「みんな…どうしてここに」
「そりゃ姉さんが心配だからに決まってるだろ」
少し憤慨した様子でジーニアス。
「一人でこんなところまで来るのは危険です。放ってなんておけません」
と、これはミトスだ。
彼は同族に執着があるらしくどうしてもと着いてきた。
「どうしてこんなところに来ていたんですか?」
リフィルは多くを語らず、一度は寄せた歩みをまたきびすを返して巨石の麓まで戻っていった。
夜風が冷気を伴ってほほを撫ぜる。月光は青い影をあたりに落とすばかりだ。
「ここは…私とジーニアスが捨てられていた場所だから」
「何言ってるんだよ、先生たちはシルヴァラントの生まれだろ」
「いいえ。コレットを助けたときたまたまこの場所が目に入ってずっと気になっていたの」
三柱の中央で背中を向けたままのリフィル。
「そして二つの世界をつなぐ二極の話を聞いて確信したわ。
ずっと探していた風景はこの場所で、探していた遺跡はこれだったんだって」
「どういうことなんだい?あんたたちはテセアラの生まれだっていうのかい?」
「うそだ!だってボクイセリアの記憶しかないよ。
こんなところ、知らない」
「私たちはエルフの里で生まれ、育った。
そしてその後うとまれてここへ捨てられたの。
ここが伝説のシルヴァラントへ続く道だと伝えられていたから」
「エルフの里…あのエルフしか入れないという秘密の村のことですね」
「えぇ、詳しいいきさつはわからない」
さえぎるもののない孤島の平原を潮風が時折渦を巻いて、あるいは吹き抜けていく。
リフィルはやはり遺跡を見上げたまま続けた。
「でも確かに私は生まれたばかりのジーニアスとともにここへ置き去りにされた。そしてシルヴァラントへ流れ着いたのよ」
「では今度こそ黄泉の国へ送り込んでやろう」
その声は唐突だった。
「くちなわ!!?」
しいなが驚愕の声を上げる。
それはミズホの民のひとりだった。
問答の暇はない。そのすぐ背後に武装をした教皇騎士団の姿があったからだ。
おのおの武器に手をかけるが、味方であるはずのくちなわの思わぬ出現に戸惑うように剣は抜けない。
「ようやくチャンスがめぐってきた。今こそ両親の敵を取らせてもらう」
「両親の仇?」
「そうだ。お前がヴォルトを暴走させたために巻き込まれて死んだ両親と里の仲間のためにもお前は死んでもらう」
「そっ、そんな!」
「それは事故だったんだろ!どうして今頃になって」
「事故だと!?」
くちなわは怒りを抑えきれずに大地を片足で強く蹴りつける。
覆面に隠れた顔はうかがい知れないが、唯一さらしている瞳には激しい怒りと嫌悪の色が浮かんでいた。
「こいつが精霊と契約できないできそこないならまだ我慢もしたさ。それがどうだ!」
くちなわは一度息をついて見下す視線でしいなを冷たく見放した。
「シルヴァラントの神子暗殺に失敗してミズホを危機に陥れてそのくせ本人はといえばちゃっかり精霊と契約している」
「それは違います!」
「ちがわねぇよ。最初の契約のときは手を抜いたんだ。そして親父たちを殺した」
「手なんか抜いてないよ!あたしは…」
「黙れ!」
いつのまにかとりまいていた教皇騎士団の輪が狭まった。
じり、と槍の矛先がこちらに向けられる。
完全に包囲されてしまっていた。
月が輝く。
かと思った瞬間だった。
「何!?」
遺跡が月光を浴び明滅を始めた。
正しくは刻まれた紋が、というべきだろうか。
巨石にライトグリーンの紋が浮かぶとその中央の空間にも変化が訪れる。
「ぼやぼやしてんじゃねーぞ!」
「きゃあ」
呆然と一歩前に出てくちなわに向かっていたしいなの腕をひっつかんでゼロスは巨石の中央に向かって駆けた。
明滅する光を踏んだ瞬間。彼らの姿は消えていた。
「みんな!異界の扉へ!」
リフィルが、コレットが、扉といわれる空間をくぐり姿を消した。
扉が開いていたのはほんの数十秒のこと。
「くそっ!式神の反応が消えた!シルヴァラントに逃げ込みやがったか」
残ったくちなわの声はもう、ロイドたちには届いていなかった。
「うわっ」
「ここはどこだ」
どさり、と何もない平原に投げ出され、腰から落ちたロイドが悲鳴を上げた。立って見回せば何でもない風景が広がっている。
しかし、しげる草草の様子から確かにシルヴァラントなのだと理解できた。
「あそこに何か見える」
「あれは…パルマコスタね。すると無事にシルヴァラントに着くことはできたってことかしら」
「うひゃ〜こんな形でこっちに来るとは思ってなかったなぁ」
ゼロスがものめずらしそうに辺りを眺めている。
確かに今になって繁栄世界から来て見ると、なんとなく草原も貧相でマナが欠乏している、ということにも頷けそうだった。
「しかしこれからどうするんです」
巻き込まれる形になったミトスが声をかけてくる。
「せっかくシルヴァラントまで戻ってきたんだ。ロディルのこともあるしディザイアンの様子を探ろう」
その言葉でパルマコスタの総督府へ向かうことを決めた。
ミトスも戦うというが、危険なのでニールに預かってもらうことにする。
ニールは、元気だった。
「神子様!ロイドさん、封印開放の旅は順調ですか?」
「あぁ、じゅ順調です!」
きわめて難航中だが、ロイドが声を裏返しながらも答える。
「それよりちょっとこいつを預かってくれないかと思って」
「構いませんが、その子は?」
ロイドはこれから向かう場所が危険であることを告げるとなぜか返ってきたのは
「では、パルマコスタの人間牧場に行かれるんですか?」
という返事だった。
「あそこはつぶしたでしょう?何かあったんですか」
が尋ねるとニールは逆に首をかしげて「違うのですか?」と困惑した顔になった。
「最近、ディザイアンが牧場跡をうろついていると報告を受けて我々も警護を厳しくしていたところです」
「まさかマグニスが復活したのかな」
コレットのゲーム的発言に何の疑問も持たずにニール。
「関係があるかはわかりませんがここしばらくイズールドとパルマコスタを結ぶ海路でディザイアンの襲撃を受けると聞いています。
どうも海底に何か建造物を作っているようだと」
「あの海域には絶海牧場があったわね」
「絶海牧場?」
聞き覚えのない言葉に
は聞き返す。
リフィルは組みかけた腕を解いて
の方を見た。
「シルヴァラントにある牧場のひとつよ。もっともパルマコスタもルインも潰してしまったから残る牧場のうちのひとつ、ということかしら」
「イセリアの牧場はそのままだもんね」
パルマコスタの牧場の復活にせよ、絶海牧場にせよ放っておいては危険だろう。とにかくロイドたちは牧場へ向かってみることにする。
「ジーニアス、リフィルさん。それにみなさんも…気をつけて」
ミトスは別れ際にお守りとして笛をジーニアスに渡していた。
それは姉の形見だといった。
