42.共同戦線
「あれは…!」
牧場の跡地に着くとそこにいたのはレネゲードだった。
最近うろついている、というのも彼らのことだったのだろう。
ニールたちにはかつてのロイドたちと同じくディザイアンとレネゲードの区別が付かないはずだから。
知っているロイドたちですら同じ格好をされていれば区別は難しい。
すぐにレネゲードだとわかったのはそこにいたのがボータであったからだった。
「お前たちを待っていた」
意外にもそう口火を切ったのはボータだった。
「おかしな話だな。我々がここに向かうことが予想できたのか?」
でなければ何日も待ちぼうけだろうに。
なのにボータはあっさりそれをかわして本題に入るつもりらしかった。
「さぁ、どうだろうな。それより我々と手を組まないか」
「呆れたこと。ロイドやコレットを散々狙ってきて虫がいいとは思わなくて?」
「あの時と今では状況が違う」
とたんに背後からかかった声に振り返るとそこにはユアンが立っていた。
「大樹カーラーンを知っているか?」
ゆっくりと眼前を通り抜けてボータの側に彼は移動した。
「聖地カーラーンにあったっていう伝説の大樹か?無限にマナを生み出す生命の木だ」
「それはおとぎ話じゃないんですか」
「大樹カーラーンは実在した。しかし古代カーラーン大戦によるマナの枯渇で枯れ、今では聖地カーラーンに種子を残しているだけだ」
「最後の封印に、大樹の種子が?」
「我々はその種子を大いなる実りと呼んでいる」
「ミトスの魂のこと?」
ジーニアスが尋ねるとユアンはさしておもしろくもないだろう。フッと口元をゆがめてから返してくる。
「それこそおとぎばなしだ」
それからゆっくりと一同を見渡して
「世界にマナを供給する大いなる実りとは大樹の種子を指している」
改めて種子について語る。
「二つの世界をひとつに戻すためには大いなる実りが必要不可欠だ」
「二つの世界をひとつにもどすだと!?」
それは突拍子もないこと。
けれどまさしくロイドが見つけたいと思っている方法でもあった。
「この歪んだ世界を作ったのはユグドラシルだ。
元々世界はひとつだった。それをユグドラシルが世界を二つに引き裂き、ゆがめた」
「世界を引き裂くなんてことができるのか?」
「ユグドラシルにはできた。
そして二つの世界は大いなる実りからにじみでるわずかなマナを奪い合って何とか存続しているのだ」
「だから繁栄と衰退が繰り返されて再生の神子が旅立つ…」
「搾取しあわなければならない世界、でもあったわけですね」
世界を存続させるという意味で、ふたつに分けたことは間違っては居ないのだろう。
ユアンの言の葉ににじむ世界のアンバランスさはけれど、他に方法があることを物語っている。
ただ楔を抜いただけでは駄目なのだ。
足りないマナを枯れかけた大地にいきわたらせる方法は……
「しかし、大いなる実りが発芽すればそれも終わる。大樹が復活するのだからな」
「どうしたら大樹は復活するんだ?」
「大いなる実りは死滅しかけている。それを救うために純粋なるマナを大量に照射する。」
「そんなもの…地上にあるわけがないわ」
当然だろう。地上にあったらこの砂時計のような世界の関係は元々なかったに違いない。
不安げながらに言い切ったリフィルを一瞥するとユアンは組んでいた腕を解いて心なし、空を見上げた。
「クルシスの拠点がある。デリスカーラーンは巨大なマナの塊でできた彗星だ。
それをこの大地の遥か上空につなぎとめている。だからそれを使えばいい」
「それが本当ならどうしてユグドラシルは大樹を復活させないんだ!」
解決方法があり、条件も揃っている。
しかし、それを実行しないユグドラシルの真意をもユアンは知っていた。
「デリス・カーラーンの膨大なマナはすべてマーテルに捧げられている。
マーテルを復活させるために」
「そんな…」
「マーテルはクルシスの輝石の力で大いなる実りに寄生し、心だけが生きながらえている。
マーテルが目覚めれば大いなる実りは彼女に吸収されて消滅するだろう。逆もまたしかり。
それを阻止するためユグドラシルはマーテルが寄生した大いなる実りを精霊の封印という楔で守っている」
「マーテル…ユグドラシルにとっては大いなる実りよりもマーテルの方が大事なんですね」
「……」
マーテルを取れば種子は発芽しない。種子を生かせばマーテルは消える。
何か思うところがあったのだろう。ユアンの表情が翳った。それも一瞬のことであったが。
「だからレネゲードはマーテルの復活を阻止しようとしているのね」
リフィルが言った。
「そうだ。我々は大いなる実りを発芽させる。
その結果、マーテルは種子に取り込まれ消滅するだろう。そして…」
「大樹カーラーンが復活する」
ロイドの言葉にユアンはゆっくりと頷いた。
「もしそうなったら二つの世界は元に戻るんですか」
「それはわからん。わかっているのは種子が消滅すれば世界は滅びるということだ」
「だからマーテル様には涙を呑んで消えてもらうってか」
ゼロスの憎まれ口にユアンの鋭い眼光が飛んだ。
けれどそれも一瞬だ。小さくひとつため息をつくとまた同じ調子でユアンは続ける。
「マーテルは既に死んでいるのだ」
そう答えたときに、マーテルというのは一人の人であることを理解した。
おそらく、ユグドラシルとユアンにも関係があるだろう。ただ一人の誰か。
マーテルは神などではない。
「デリス・カーラーンのマナがなければとうに心も消えていた。」
「どうしてユグドラシルはマーテルにこだわってるの?」
「それはどうでもいいことだ。問題は大いなる実りを発芽させること」
ことさら隠すのは深く関わっているからこそなのかもしれない。
しかし、ロイドたちはそれで納得して次の言葉を待った。
「今まで大いなる実りは衰退世界の精霊によって守護されてきた」
「マナの楔だな」
「そう、そして楔は抜け始め大いなる実りの守りは弱まっている」
「私たちが二つの世界の精霊と契約をしているから…ですね」
「なるほど、だから私たちと手を組みたいのね。
私たちにはしいなとという召喚士がいる」
合点がいってリフィルは警戒の色を瞳から消した。
目指すべくは相互協力、といったところに行き着いたのだろう。
「ユアン、お前はクルシスか?それともレネゲードなのか」
フウジ山岳で見た限りではクラトスとも彼は肩を並べていた。
ユグドラシルの言葉にも従っていた様子は違和感を覚えさせるものだった。
「わたしはクルシスでありレネゲードの党首でもある」
「獅子身中の虫、か」
「ようするに裏切り者だ」
リーガルに続いてゼロスが軽口をたたいた。
今度は表情をぴくりとも動かさない。ただ毅然と胸を張って
「さぁどうするのだ」
こちらの決断を迫ってきた。
「わかった」
「信じるの?ロイド」
「信じるさ。こいつは自分の裏切り者としての立場を明かした。
それってやばいことなんじゃないのか?」
それだけ事態は切迫してきたということだ。
いまさら怖じることもあるまい。
「わたしも信じる」
コレットも前に進み出る。それで協力は決まったようなものだった。
「お前たちはロディルの牧場へ向かうのだったな。」
「ホントによくしってるねぇこっちに密偵でも放ってるんじゃねぇのか」
ユアンはちらと、言ったゼロスを見たがそれだけだった。
「まぁいいや。魔道砲ってのが完成する前にどうにかしたいんだ」
「それにロディルには貸しがあります」
「牧場と魔道砲はシステムが連結しているはずだ。管制室を無効化するといい」
「やけに詳しいわね」
リフィルの勘ぐりにもユアンは動じはしなかった。
「我々もロディルの牧場に潜入する必要がある。奴の牧場の入り口まで道案内をするがどうする?」
「どうするもこうするもねぇよ。手を組むんだろ。当然頼むさ」
「あんたたちはどんな目的で牧場に向かうんだい」
「マナを大いなる実りに照射するための準備だ。
あぁ、その準備のためにレアバードの空間転移装置が使えなくなっている。テセアラへ戻るのは牧場潜入の後まで待て。いいな」
こくりとうなずくのを見て、ユアンは副官を顔だけで振り返って言う。
「後は頼むぞ、ボータ」
「わかりましたぞ」
ロイドたちは用意も早々にそうしてボータに続いて絶海牧場へ向かう連絡通路へ潜入した。
「我々はここの魔導炉に用がある。ここをまっすぐ進めば牧場へ繋がっているはずだ」
海中を通る半円の通路の入り口でそうしてボータたちとは別れることになった。
「そうだひとつ言い忘れた。おまえたち牧場を破壊しているようだが、
魔導炉は大いなる実りの発芽に欠かせないのだ。ここは破壊するなよ」
思いついたように足を止め、それだけ述べてボータは部下とともにいずこかへと姿を消した。
「ここは破壊するな、か。じゃあどうすりゃいいんだ?」
「魔導砲を無力化する必要があるだろう。管制室だな」
ジューダスが通路の向こう、水面を隔てた向こうにそびえて見え始めた「牧場」を見上げて言った。
「管制室って言うと一番上だよな」
「なんでわかるの」
「こういうところは相場が決まってるっつーの」
反論するにももっともな、しかしなんとなく情けない理由で一行は最上階を目指す。
牧場は半円形の下部をつぶしたような形になっていて、下層には人々が捕らえられていた。
そちらを開放し、その隙にエレベータで上階へ向かう。
幸いにも最上階へ直結するものがあったので、管制室に入るには難しいことはなかった。
そこに待っていたのはロディルだった。
「生きておったか。神子崩れとその仲間めが。
ゴキブリ並みの生命力だのう」
「ヴァーリと二人で…私を騙したんですね」
まず前に出たのはプレセアだった。小さな手を握り締めて今しも斧を振りかざさんと言う気迫で赤眼鏡の男を睨み付けている。
「プレセアか。お前のその小さい体でクルシスの輝石を生み出してくれていればもっと大事にしてあげたのですがねぇ」
「消えなさい!」
「フォッフォッフォッまぁそういきりただず投影機を見なさい。
これからちょっとした水中ショーを見せよう」
モニターには逃げる人々の姿が映し出されている。それが部屋の出口前にある橋まで差し掛かったその時、水がどこからともなく勢いよくせりあがりはじめ、人々は逃げ惑った。
「ひ、酷い!」
「みんな死んじゃう!」
「てめぇ!やめろ!今すぐ海水を止めるんだ!」
ロイドが有無を言わさず踏み出して剣を薙ぐ。
しかしロディルは意外なほどのすばやさでそれを避けた。滑る様に後方に着地するとまた、笑う。
「お前たちがここに乗り込んできた訳はわかっていますよ
大方魔導砲を無力化しようというのでしょう。
残念でしたねぇ。魔導砲へ続く通路は海水で満たしてあげましたよ!」
「そんなことのために牧場の人たちを見殺しにしたの!許せない…」
コレットが両手を握り締めて怒りを示す。ロディルの笑いはそれでも止まらなかった。
「劣悪種の命など知るか!魔導砲はクルシスの輝石があれば完成する。
あのトールハンマーさえあればユグドラシルもクルシスもおそるるにたらんわい。
目障りな救いの塔も魔導砲でくずれおちるだろう」
「救いの塔を破壊して一体何になるんだ」
「くくく。お前たちのような下等生物には関係のない話だ。
私はようやくクルシスの輝石を手に入れたのだからな!
どれまずはわしが装備して輝石の威力を試してやるわい」
言うが早いかロディルは取り出した輝石を自らの体に埋め込んだ。
要の紋はないのだろうか。
どういうわけか暴走するでもなくロディルは巨大なモンスターへと変貌を遂げていく。
その姿は人の形をしてはいるがもはや誰がどう見ても「人」にはみえない。
戦闘用の生き物であるが、体は大きく腫れ上がれ、緑の表皮を青い鎧が覆っている。
そんな姿になってまで力を手に入れたいのだろうか。
ロディルは片腕に平行にはり付いた大きなブレードをかざした。
それぞれが危機を感じて退くとその後に巨大な亀裂が穿たれた。
「見よ!この力を!」
笑いながら破壊を繰り返していく。
「清漣より出でし水煙の乙女よ。契約者の名において命ず、出でよ!ウンディーネ!」
破壊の衝撃の中、先制をかけたのはだった。
それでもそよ風程度にしかきかないのか、ブレードがついているのとは逆の腕、盾と化している腕を振り上げて笑う。
しかし次の瞬間。
「ガッ!?」
「いつまで笑っていられるかな」
その装甲をジューダスが貫いた。シャルティエを前にして盾はもろくもその機能を失っていた。
「剛・魔神剣 !」
後衛からロイドの技が飛ぶ。
「威き神が振るう紫電の鎚よ!」
雷撃が落ちた。
「蒼鳴たる波濤よ、戦禍となりて厄を呑み込め!」
タイダルウェーブが巨躯となったロディルを飲み込み、壁にたたきつける。
緑色の体液を撒き散らしながらロディルは狂ったようにおぼつかない足取りで吠えた。
「くぅなんということだ…私の体が…体が、くちはてていく!」
「なんだ?もうお終いか!」
あっけない幕切れだった。
おかしなことにそれはタイダルウェーブの衝撃というより内部崩壊を起こしているようだった。
それを如実な叫びが露にしたのは次の瞬間。
「だましたな…!プロネーマ…!!」
察するに彼が信じていたものはクルシスの輝石ではなかったのだろう。
ロディルは転げ落ちるように吹き抜けになっている二層から下の層にまろび降りると、中央にある半球のシステムをすがるように両の腕で大きく抱いた。
「ただでは死なんぞ。きさまらも道連れだ」
言うが早いかハザードランプが明滅するとともに切り裂くような音がエマージェンシーを告げた。
「いけない、自爆装置だわ!」
「爆破するなってボータさんが言ってたよね」
「くそっ止めるんだ」
「無理です。私たちの中でこの機械を扱えるのはリフィルさんくらいしか…」
そのリフィルはといえばもう解除の作業に入っている。
投影機から映写された画面にはいくつものメッセージボックスが現れては消え、を繰り返している。
「俺様たちはテセアラの生まれでも魔科学の仕組みなんざほとんど勉強しねぇからな」
「先生!」
「わかっています!でも一人では追いつかないわ」
メッセージボックスが徐々に数を増している。
その時、背後の扉が開き、ボータが現れた。
「我々が引き受けようぞ。
お前たちはそこの地上ゲートから外に出て脱出するのだ」
「ボータ!無事だったのか!」
「そんなことは後でいい。早く外に出ろ。おまえたちがいては足手まといだ」
「わかった」
ボータを中心に二人のレネゲードがシステムへと向かう。
無言のまま作業を続けるその姿を後に一同はハッチから外へ出た。
ガラス張りの向こうに空が見える。どうやらここが一番最上階らしかった。
全員が外に出ると管制室を見下ろすことのできる大きな一枚ガラスを背景にハッチは自動で閉じた。
と、同時だった。管制室の中にまで水がじわりと染み出してきたのは。
「大変だ!すぐに開けてやらねぇと!」
ロイドが駆け寄ってハッチに手をかけた。ジーニアスも手伝うがびくともしない。
その間もひたひたと水は彼らの膝まで覆い、けれどボータたちは黙々と作業を続けている。
まさか…
言い知れぬ不安がの胸を過ぎった。
「駄目だ!開かないよ」
「どけ!」
リーガルがガラスへ向けて蹴りを繰り出す。
けれど何回強靭な戦闘用のレガースをたたきつけたところでガラスは割れはしなかった。
「ボータたちだわ。水が来ることを知っていて、わざとカギをかけたのよ」
「どうしてですか」
「扉が開けばここにも水が押し寄せてくる。
見ればわかるとおり天がドーム状に覆われているわ。水の逃げ場がないのよ。」
「私たちを…助けるため?」
「そんなの駄目!なんとかできないの!?」
コレットが叫ぶが大きなガラスは微塵にも揺らがない。
「くそっ見ているだけなのか!」
「自爆装置は停止させた」
ボータの妙に落ち着いた声がした。
「ボータ!あの扉を開けろ!俺たちで上のドームを破壊すれば…」
「我々の役目は大いなる実りへマナを注ぐために各地の牧場の魔導炉を改造すること」
高い位置へあがりガラス越しに対峙する形でボータはこちらを向いた。
水はもう、低位置にあるシステムを飲み込んでいた。
「それもこの管制室での作業を持って終了する。
おまえたちには我らが成功したことをユアン様に伝えてもらわねばならない」
「そんなこと自分で伝えろ!いいから扉をあけやがれ!」
「真の意味で世界再生の成功を祈っている」
水が膝までせりあがる。
「ユアン様のためにもマーテル様を永遠の眠りにつかせてあげてくれ…」
それが腰に、胸に、しかしその後はどうなったのか定かではなかった。
黒いシャッターがボータの声とともに一切の展望を遮断してしまった。
言いようのない恐れがを襲う。
心臓が早鐘を打って震えが訪れた。ただ、見ているしかないのか。
しかも彼らはそれを享受している。
その姿が別の何かを髣髴とさせ……
「駄目…」
「?」
「こんなの駄目だよ」
釈然としない痛みが胸を覆う。
しかし、もはや手遅れであろう。その事実がますます高ぶりを押し上げていく。
「なんてこった…」
「みなさん、後ろを!」
「な、なんだ」
そんな時、背後からけたたましい声が聞こえた。
檻らしき鉄格子が開いて、そこからのそりと鋭い頭がのぞいた。
「運搬用の飛竜でしょう。自爆システムの解除でおりが開いてしまったんだわ」
「いかん、奴ら来るぞ!」
「氷結は終焉…」
「!」
詠唱は素早かった。
冷気が一瞬おのおの頬をかすめて飛竜の頭上に集うのを見た。
「せめて刹那にて砕けよ!インブレイスエンド!!」
巨大な氷塊がはい出てきた飛竜をまとめて叩き落した。
まだ収まらない。
目の前に助けられない命がある。
これは八つ当たりのようなものだろうか。
「これじゃあキリがないよ」
「くそっなんて数なんだ」
その後から更に現れる飛竜にあせるロイドたちとは対照的には次の詠唱へと入ろうとする。
「ミトスっ」
迫る危機にジーニアスが笛を手に取り奏でた。
といってもそれが何の曲になっていたというわけでもない。
しかし。
ふいにまばゆい光弾が天から降り注いだ。
光は覆っているドームを破壊するとまっすぐに現れた飛竜を射抜く。
空を見上げると紅い巨鳥が視界をよぎった。
とたんにそこから光が放たれ、意思があるかのように分かれたそれは、ひとつが一体ずつ飛竜たちを貫き、消えていった。
「今のは…精霊?」
「ジーニアス!リフィルさん!みんな!」
ミトスの声がした。
「どうしてミトスがここに…」
「レアバードで脱出してください」
「詮索はあとにしましょう」
促されて、ロイドは持っていたウィングパックからレアバードを出し、一行は空へと逃れた。
* * *
「ミトス!やっぱりミトス!でもどうして!?さっきの攻撃は?それにどうしてレアバードを…」
「ごめんなさい。ボクやっぱり心配でみんなの後をつけていたんだよ
それでレネゲードって人たちにお願いしてレアバードを貸して貰ったんだ。」
空を漂いながらミトスが風に金の髪をなびかせている。
「でもあのものすごい攻撃は?」
「あれは…ボクにもわからないよ」
ゆっくり顔を振る。
「ボクは笛が聞こえたからどうにかして中に入ろうと思って必死でファイアボールをぶつけただけなんだ。
そうしたら突然金色に輝く鳥がやってきて僕を助けてくれたんだよ」
「金色に輝く鳥?まさかアスカ?」
「まさか!精霊がどうして…」
仲間の会話が少し遠く聞こえる。
「まさかとおもうけどジーニアスの吹いた笛の音がアスカを呼んだとか?」
「ミトスの笛が?」
それはリンカの木でつくられたものなのかもしれない。
けれどは会話に参加する気も起きず、ただボータたちの行方を、どうなるのかわかりながらも案じる他はなかった。
